今日で三回目。 けど多分、こいつわかってない。 なんで俺が休みさいて出かけるのか。しかも女子と。つーかお前と。 普通ありえないぜ?わかれよそんくらい。 「へへ。またかのうくんと遊べるなんて思ってなかったよ」 「ああ」 「電話もらったとき嬉しくってうまく喋れなかった」 「…」 そうだ。俺が最初誘った時もへんな喋り方になってた。あんときはまだましだったけど。お前、なんか蒸発しそうなくらい興奮してたよな。 ありゃけっさくだった。 「かのうくん?」 「ん?」 「ふふ。今日の映画そんなに楽しみなんだね」 俺…。思い出し笑いしてた? …ださ、い。 緩んでた顔を慌てて戻したら、ななは首をかしげる。やめろ。 つーか俺、映画どうでもいいとか思ってんだけど。誘ったの俺だけど。お前が釣れて良かったよ。 前とかキャッチボールしたい言うからすげーびびったし。普通にトレーナーだったし。 今回はなんかまともにデート?デート?デートだよな?デートだから、服も真面目に選んできてて。悩む時間も楽しくて。 うん。勇気出して誘って良かった。まったく。 「何時からの見るの?」 俺を真っ直ぐみて話しかけてくるななを、直視できない。 くそ。 いろんなことが、どうどう巡りだ。 「あ〜。多分、昼過ぎ」 「あはは。じゃあ少し時間あるね」 甘い匂いしそうな髪をゆらして鞄を持ち変えるななになんか喉が、あつく、なった。 付き合ってるわけじゃないけど。 好きとかよくわかってないけど。 お前の私服なかなかだぜ、とか気の利いたことまだ言えないけど。 お前をこの距離に置いときたい。くらいは「好き」なんではないかと。思っていたりするんだが。 お前は? お前はどう思ってんの? たまに会う、くらいの「好き」を期待してもいいのか? なあ…。 そんな無節操に笑ってんなよ。 食うぞ? fin |