お見舞いに来てくれたはないくん。でもタイミング悪くわたしのお腹がなってしまってノートに向かっていたはないくんが顔を上げた。 「…お前飯食った?」 「ぇ、えへへ」 「えへへじゃねーよ」 あわわ。ごまかせなかったよ。 はないくんがお粥作るって立ち上がるから思わず起き上がった。腕を掴んでとめようとしたらふらっとなってはないくんが慌てて支えてくれて、…ため息をついたのが聞こえた。 あ、あきられてる…。 「な、ならせめて、作るとこ…見ててもいい?」 「は?」 「いい?」 …まぁ別に、とはないくんは了承してくれた。 支えてもらいながら階段を降りてキッチンまでの廊下の途中、足が寒いのに気づいた。あ、靴下はいてない。けど取りに戻るのもなんなのではないくんの手の温度を感じながらまいっか〜と思った。台所ついたしね。 「おま、靴下はいてねーじゃん!」 はないくんは目敏いです。 「あ…と、寝るとき気持ち悪いから」 「あのな〜。…スリッパどこ?」 まるでお母さんだ。やっぱり下の兄弟がいるとしっかりするのかな。わたしも下の子がいればもっと違ったのかな。 はいたら、こけるのと返事したらフリーズしてしまったはないくん。 椅子を引いて座らされながらはないくんに「とってくるから」と言われた。申し訳なくて何も言えない…。 「座ってろよ」 肩を返すはないくんにお礼を言って見送った。 毎度すいません。 …はないくん優しいな。わたしはないくん優しすぎて泣きそうになるときあるよ。今もちょっと泣きそうだしね。 …。やっぱりお鍋くらい準備しようっと。 一番小さいお鍋を下の棚から選んで取り出して水をくむ。あ、わたしそういえば靴下下着の隣にしまってるよ。ああっ!ようこちゃんからもらったすごいやつどこにしまったっけ。プレゼントは嬉しかったけどとても着れないから違うとこにしまったんだっけ?(本当にびっくりした。ようこちゃんは人を驚かせる天才だと思うよ)ん?…あそっか。包み紙から出してすらいなかったんだ。あはは。ようこちゃんには言えないな〜。 安心してお鍋を火にかけてたら(オール電化の場合なんていうのかな。沸騰させるとか?なんかへんだなー)後ろのドアが開く音がした。振り向いたらばっちり目があった。 ひえー。は、はないくん帰って来ちゃった。顔が怒ってる…。 「座ってろって」 「え、えっと」 弁解しようにも出来なくて手を引かれるまま椅子に戻されると、靴下を渡される。 は、はくよ。わたしちゃんとはくよっ。 もう片方をはきおわらない内にはないくんはキッチンに向かっていた。 ああ。お料理するはないくんもかっこいいなあ。走ったりものすっごく集中してるはないくんもかっこいいけどね。なにしても似合うなあ。わたしとはえれーちがいだよ。 あ。せっかくだからエプロンつけてもらえば良かったな。きっとかっこいいもん。 ぼーっとはないくんを見てたらふんわりお米の匂いがした。 「いい匂い」 「あ、起きてたのか」 「なんで?」 「静かだったから」 それは当たり前じゃないか。はないくんかっこいいもん。 はないくんのこと見てたからだよ、と言ったらはないくんは下を向いてしまった。 そんな静かだったかな?お鍋のコトコトする音とかはないくんのスリッパの音とかしてたよ? |