うぅ。苦しいよー。気持ち悪いよー。部屋…換気したいけど、窓開けたら寒いだろうしそもそも体が動かないよ。起きあがれないよ。寝返りさえしんどいよ。うつぶせに寝たのは失敗だったかな。 ふう。 せっかくお見舞いに来てくれたいずみくんも、さっきから暇そうに本を読んでいる。 「いずみぐん…、あの…暇だったら…帰っでいいよ?」 わたしのひどい鼻声に、いずみくんは顔を上げた。いつもの無表情が少し不機嫌そうに歪んでいる。 あぁ、わたしまた余計なことを言ってしまったのかな。せっかく来てくれた人に帰れとか、ダメだよね。 自分の不甲斐なさが染みて勝手に目頭が熱くなった。 「言っとくけど俺、ここにいたいからいるだけだから」 てめーは寝てろ、といつもの乱暴な口調でわたしに言うのになんだかとてもあったかくなって、少し恥ずかしかった。熱い頭がもっと熱くなるような気がして、布団で少し顔を隠す。いずみくんをもいっかい見たら、その視線はまた本に落とされていた。 どうしよう…。いずみくんなんだか優しいな。わたしが風邪だからかな。それなら今のうちにたくさんお話したい。いつものいずみくんはあんまりしゃべってくれないから。 お話、なにかお話… 「なに?」 「ぅえ?」 「ぅえじゃねーよ。目ぇ赤くして人のこと見んな」 わ、わたし無意識にいずみくんのことを見ていたのか。ひえー。わたし変な人だよ〜。どうしよう。せっかくいずみくん今優しいのに!怒らしてしまったら元も子もないよ。 頭パンクしそうになっていたらいずみくんがすごいこと言い出した。 「おまえさ、俺にかまってほしいの?」 すごーい!いずみくんすごーい!そうだよ!わたしいずみくんとお話したいんだよ。今ならいろいろお得な気がするんだよ。いずみくんともっと仲良くなれる気がするんだよ。 「そう!わた、わたしいずびくんとおしゃべりじだ、」 言いたいことがまとまらなくて咳込んでしまった。いずみくんは意外そうにふーん、と言って咳こむわたしを見る。 恥ずかしいな…。 わたし今とても見苦しいよ。あ、今日はずっと見苦しいですけども。 「じゃあさっそく言わせてもらうけど、」 (お前鈍感すぎ) |