振り

□きーぷ・まい・へっど
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眠たそうに目をこするななさん。
あまりにフラフラ歩くもんだから俺は思わず腕を掴んで支えながら歩いた。
巣山、手伝ってくれてもいいのに…。


「あはは、寝てたー」


恥ずかしいなー、と全然恥ずかしそうに言わないななさんにぐったりした。

とりあえず自転車置き場でま待ってるであろうみんなんとこにつく前に、ななさんのためにみんなが待ってることを説明する。
意識が完全に覚醒したっぽいななさんはみるみる青くなった。



「…ぇ、いいよ。悪いよ。一人で帰れるよ…」



自分のしたことの重大さを理解したようだ。しかも悪い方に。
ななさんのこうゆうとこ、ちょっと三橋に似てるんだよなー。



「や、送るのとか当たり前だし、気にしなくていいって。俺も、一回ななさんみたいなことあったし」


「で、でも」



自分でもびっくりするくらいすらすら出た嘘に、笑った。
あれー。
なんか俺へん?



「ななさん家どのへん?」


「…えっと。わ、わたしやっぱり一人で帰れるよ!」


自転車じゃないし、じゃあね!と走りだそうとする彼女の肩をあわてて掴んで「ま、待ってよ!」と大声になってしまった。



逃げようとする彼女を引きずって自転車置き場までくると、
みんなが珍獣を見るような目でこちらをみた。
うん。まぁ、珍しいよね。


「おせーよ」


「ごめんごめーん」


花井にすげーだるそうに言われた。
俺を通して、彼女に言ってるのはまるわかりで、ななさんは黙ってうつむいてしまった。



「ハイ俺つれて帰る!!」


「てめーは家そこだろが」


田島が飛び跳ねて手を上げたのを泉が一蹴した。
空気読めてんのか読めてないのか。
ななさんすげー逃げたそうな顔してるよ…。



「で、家どの辺なの?」


「あー…」



ななさん、どの辺?と小声で彼女に聞くと、彼女は首を横に振った。



「そいつ一組だろ?てめーらがめんどうみろよ」



付き合ってらんねー、と阿部がつぶやいた。
ななさんは泣きそうになってて。
誰かが阿部キツー、と小さく言ったのが聞こえる。

うわ、俺彼女解放したほうがいいんですか?
俺無理矢理つれてきちゃったし!



「あ…あの!な、中区、の方だよ、…ね?ななさん」



「えっ」



い、意外や意外、
口を開いたのは三橋だった。




「ちょ、ちょっと道、はは、はずれるけど…方向、同じ…だよ」


なんで三橋が知ってんの?的な空気になって、みんなフリーズした。
はは。みんな似たような顔なってる。


「いーな三橋。俺も探検したかったなー」


「…。じゃ三橋が送ってくんだな?」


阿部が変な顔した。
俺も変な顔になってたと思う。

ともかく、
田島の妙技をきっかけに解散になった。









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