振り

□つまり、すき
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初きす以降、俺なにしててもななにちゅーしたくてしたくてしょうがなくて。でもななは超おくてだから、俺はいっつもタイミングを見計らってななにちゅーしていた。図書室とか、教室とか、オレんちとか!ななはスッゴく赤くなるけど、怒ったことは一度もない。あ、でもちょっと前に理科準備室できすしたとき、どさくさに紛れてスカートの中に手入れようとしたら、逃げられてしまって、それからちゅー出来てない…。


しかーし!今日のデートは一味違う!なんとななの家に招待されたのだ!すげー!
か、家族の人とかいるんだろうか?うわー。ななの彼氏です。とかって言うのか?自分から言っていいのか?


ななんちから近い公園で待ち合わせて、ななの家に向かう。家の前集合で良いって言ったらななは迎えに行きたいな、といって譲らなかった。やっさし〜。



家についた。俺テンションあがってる。ななは鍵を取り出して、玄関を開けた。…あれ?ななて、鍵っ子?



「えっ、おばさんとかは?」


「え?今日うち、だれもいないよ?」


俺の中でなにかくずれた。共働きなの…、とななは笑って、俺を招き入れる。家族がいないとわかった瞬間、俺は理科室でのことあやまろう、と思った。そうだ、まだちゃんと謝ってないじゃん。俺浮かれてばっかだった!


普通に、ななの部屋に通されて、普通に向かい合って座って、話をしてる。でも俺は女の子独特の匂いで頭がくらくらしててさっき決めたこと忘れそうだった。幼なじみとかとはまた違う、女の子の匂いだ…。


「悠一郎くん、お茶おかわりいる?」


「あ、うん。欲しいけど、あとでいい」


「…?」


「あのさー、この前のことなんだけど」


あの日のあともななは普通に笑ってくれたけど、それじゃだめだよな、俺。出来るだけ、真面目に話そう。いっつも泉にKY言われるし!へんな気合い入った俺はななの左横に回り込んで正座した。


「理科室の、ごめんな。切り出しにくかったのもあるけど、正直、お前んちこれるのに浮かれてて、とんでた」


もいちどごめん、て言って、ななの顔を見た。うつむいて表情はわかんなかったけど、ななは首を横に振った。


「気にしなくていいのに…」


口調すごく優しいけどなんか…、なんか、


「ゎ、わたしも、逃げちゃったから…」


「ななは悪くねーよ!俺が、」


とん、となな頭が俺の左肩に乗った。俺は固まってしまった。ななからこういうのは、すっごくめずらしいから。


「え、とね?…あの日から悠一郎くん、わたしのことあんまり見なくなった気がして」


うん。ななみるとちゅーしたくなるもん。


「で、き…き、きすとか、ぜんぜんしなくなって」


うん。だってそりゃ、我慢してたし。


「だ、からちょっと、さみし、かったの…」


最後はかすれて聞こえなかったけど、聞き終わる前に俺はななの背中に腕を回した。
ぎゅって抱きしめたらあっ、てななが声出すもんだからどきどきしてしまった。おれいますげーななにちゅーしたい。したすぎる。
だって俺たち好きあいすぎてるもん。あ、こういうのを愛しあってるって言うのか?苦しそうなななの声が首に響いてどきどきしてた胸がキュッてなった。抱きしめる手をゆるめて、ななの顔を覗き込んだ。


「なな…きすしていい?」


ななは真っ赤な目で笑った。






俺たちは今日、六回ちゅーしましたっ。すげー幸せ!
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