一体俺はななの頭ん中何割くらいくい込めてんだろ。 「そっかー水谷くんの位置だ!」 なにが楽しくてこいつこんな笑ってんだ…。 つか俺今すげーイラっときたー。 俺が黙ってたせいか、ななの表情が曇る。 「花井くん、楽しくない?勉強したい?」 お前のことで頭いっぱいだっつの!とか言えるわけなくて、ちょっと自分が情けなくなって。 「や、お前いるし」 あああ!こんな言い方だとこいつ「私がいるから花井くん勉強出来ない」とかおもうぞ! あわててななを見たら、顔を真っ赤にして目ぇ見開いて俺をがんみしてた。(がんみておかしーか?) あ、そか。…通じたんだ。 ちょっとは俺の言いたいこと伝わるんだな? だから赤いんだよな? 告白前からしたら、すげー進歩だ。 目があって数秒、俺はななにちょっと近づいて、雑誌の上にある、小さな手に触れた。 うわ、あったけ。 「…ぁ」 小さな声を漏らして恥ずかしそうにうつむくななにめまいを覚えて、自分がどうにかなりそうな気がした。 そうだ、この部屋、勉強以外で使ったことないんだ。 この密室で手すらつないだこと、ないんだ。 「なな…」 うっわ俺今すげー声出た! あ、でもなんか頑張れてんじゃんっ。 ななの反応にテンション上がってんのか? 単純だな俺〜。 「はないく、…どうしたの?」 おもわず握ったななの手は、少しだけふるえてて。 少しは緊張してくれてんのか?ておもったけど、 もしかしたら、俺の「嬉しさのあまり」のふるえかもしれない。 どっちでも、同じだけど…。 「…なな」 もっかい呼んだらななが顔を上げたから。 小さなリップ音。 見つけてしまった、君の新スイッチ。 |