大丈夫かお前、と阿部に言われた。怪訝そうな顔のせいでいつもより人相が悪い。悪すぎる。 「…何が?」 意味のない意地ではぐらかしてみっけど、阿部の顔はぜんぜん納得してない。なめんな、みたいな目で見てくる。 「お前が思うほど深刻じゃねーよ」 ばつが悪くて苦笑とため息と一緒に出た言葉がこれだった。ちょっと、ひきずりすぎなんだろな…。 「別に、…」 阿部がなんか言いかけてチャイムが鳴った。一言二言続けんのは簡単だったけど、もう必要なかった。 阿部の顔がそう言ってるから、それでいい。 しかし重症だなこれは。 さっさと告れば問題ないんだろうけど、あっちは俺の名前すら知らないんじゃねーの?さすがにそんな橋渡りたくないし、つか知らん男に告られるとか引くよな〜…。 …ななって彼氏いんのかな。 て駄目じゃん。結局そこだよ! や、いても好きだよ?ななのこと好きだよ? でも期待できんのゼロとか俺自信ないしっ。 「俺、なにがしてーの…」 うなだれてたら、また紙屑がとんできた。 |