振り

□きみにみせられたぼくがいちばんくるしい
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大丈夫かお前、と阿部に言われた。怪訝そうな顔のせいでいつもより人相が悪い。悪すぎる。



「…何が?」



意味のない意地ではぐらかしてみっけど、阿部の顔はぜんぜん納得してない。なめんな、みたいな目で見てくる。



「お前が思うほど深刻じゃねーよ」



ばつが悪くて苦笑とため息と一緒に出た言葉がこれだった。ちょっと、ひきずりすぎなんだろな…。



「別に、…」



阿部がなんか言いかけてチャイムが鳴った。一言二言続けんのは簡単だったけど、もう必要なかった。

阿部の顔がそう言ってるから、それでいい。

しかし重症だなこれは。
さっさと告れば問題ないんだろうけど、あっちは俺の名前すら知らないんじゃねーの?さすがにそんな橋渡りたくないし、つか知らん男に告られるとか引くよな〜…。

…ななって彼氏いんのかな。

て駄目じゃん。結局そこだよ!
や、いても好きだよ?ななのこと好きだよ?
でも期待できんのゼロとか俺自信ないしっ。



「俺、なにがしてーの…」



うなだれてたら、また紙屑がとんできた。












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