振りに

□香辛料フレンズ
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あたしの悪い癖だ。嫉妬してもらえなきゃ、愛を感じれないなんて。まあそんなの嘘で、愛とか優しさとかはソイツらの気遣いとかでわかるんだけど。あたしの欲しいのは、そうゆうのじゃないわけですよ。片想いしたことないからかなー。

ワザと他の男をチラつかせて、彼氏がヤキモチを妬くのが、たまらなくスパイスで。若い頃だけ?いや。歳を重ねてもなお、あたしはそれが行き過ぎるほど、楽しくてしょうがない。
は。まあ破局の原因は、だいたいあたしにありますよねー。


「あたし!悪いことしてないけど!」


男友達だってたくさんいるし、彼氏以外と二人っきりで遊びに行くなんてみんなやってることだし、あたしなりにルールもある。

ひとつ、彼氏がいるときは他の男と性交渉はしない

大事ね!これ!めっっちゃだいじ。これぞスパイス!浮気、良くない。ダメ絶対。



「俺は、お前のそうゆうところかわいいと思うよ」


温度のない声があたしを貫いた。お互いホロ酔い加減で、いや結構酔ってて、あたしはソイツを睨みつけた。睨みつけたっても目元に力が入って頭がズキリと痛んで「あー」と情けない声が出た。
大丈夫かよ、と今度はいくらか温度のある呆れ笑いが聞こえて、あたしの数あまたいる男友達の一人は、お冷やとおあいそを店員に頼んでいた。良い奴だよあんた。


ごみごみとした呑み屋を出て、やんわりと身体を支えられ歩き出す。あたしは結局男のキモチのわかんない女なんだ。信用できないし、だから試すようなことをする。怒らせたり呆れさせたり。ホントに、しょうがなく、とんでもなく狡くて汚い女なんだ。付き合った男がたくさんいたって、きっと結婚には向かないのだろう。

気付いたらマンションの前だった。うわ。ここまで送らせるつもりはなかったんだが、うわ。


「でもさそれって、好きなヤツの気を引きたいだけだろ」


小学生じゃん?と、酒臭い息を混ぜあっていい年してぎゃははと笑いあった。ご近所迷惑。





 

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