パラソルの下、鞄から日焼け止めを出して顔にぬりぬりする。ちょっとすーすーするやつで気持ちいい。パーカーを脱いで腕とおなかにもぬりたくる。きもちーなあ。お腹をすりすりしながら海をぼうっと見ていると栄口くんが歩いてくる。身体にいっぱい水の玉を貼り付けていかにも泳いできましたとゆう感じ。栄口くんてゴーグル似合うかもなあ。 「迷った?」 「うん、知らない人のパラソル目指しちゃって」 「連絡くれれば迎え行ったのに」 相変わらず優しく笑う人だな…。隣に腰掛ける栄口くんにタオルを渡すと、あ、自然乾燥するよ、とまたふんわり笑った。向日葵だな。 「日焼け止め?」 「あ、うん。家で塗ってきたんだけど、もっかい塗ろっかなって」 「完全防御だな」 「けっこう焼けちゃうんだよ?あ、背中の真ん中のとこ塗ってもらっていいかな?」 VANESSAを栄口くんに手渡そうとしたらいままでの笑顔がふっと引きつったようにみえた。あ、あれ?もしかしてVANESSA肌荒れしちゃう人だったかな。 「…うんっい、いーよどれくらい出せばいい…のかな」 手にクリームをちょっと出してまた笑う。よ、良かった。これくらいだよっ。ぬりこんでください!と親指をたててわたしは栄口くんに背を向ける。しばらくしたらすーすーしたクリームとあったかい栄口くんの手が背中をすべる。ふえーきもちー。ねえさん座りのまま背中をまっすぐにしてるのがつらくて前に両手を着いて安定させる。 「でっ。だ、…気分悪いの!?」 「やーちがうよー。きもちくてですねー」 栄口くんを振り返ると日焼けのせいか目の下が真っ赤になっていた。あとで栄口くんにも塗ったげないとなー。 |