振りに

□ふたりでひとつを
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「うわぁ?」


理解不能。みたいな顔だった。俺に足かけられてこかされて、葵にうしろから抱き込むように身体をやんわり押さえられて。
自業自得だ、なんて。こいつには酷だと思わない。ほんの少し、こいつに思いやりがあれば俺たちはこんなことにならなかったししようとも思わなかった。服を丁寧に丁寧にはいでいく間もさきは抵抗せず俺たちを見上げている。つか、抵抗出来ないんだろうな。驚きすぎて頭回ってねんだろな。ゆっくり下着に手をかけると、やっと俺の手に爪をたてた。


「りょ、ちゃ…な、んで?」



さきをみた後、顔を上げたら腕を抑える葵と目があった。ああ、やっぱこういう時、俺達似てるなって思う。きっとお互いを目視したんだろうな、同じタイミングで。なんでって…なあ。何でだろうな。俺もよくわかってない。いやほんとはよくわかってるんだけど、冷静になったら多分これ以上お前にいろいろ出来なくなるから。今は、気づかない知らないふりでいたい。です。きっと葵も俺と同じこと、考えてる。ええ、バッテリーですから。
するり、と。 さきの薄い青色のブラをずらす。AV女優とかが着てるハデなものでなく高校生らしい青いフリルで。余計に興奮した。ホックを外そうと腕を回すと、固まっていた身体が抵抗を始めた。葵の部屋に遅すぎる抵抗の声が響く。葵は抱き込む腕の力を強めた。胸が露出したのと同時に さきの右足が俺の肩に衝撃を喰らわせる。



「痛って」


は、と さきの顔が強張る。思わず口に出た言葉ほど痛くはなかった。痛いのは肩じゃなかった。きっとこいつの顔が強張ってんのは、夏を控えたキャッチャーを蹴ってしまったという罪悪感だろう。まったくどこまで人がいいんだこの馬鹿。蹴るのも蹴られるのもあまり芳しくないので下の下着を剥ぐ前に足首を掴んだ。抵抗の仕方が解らなくなったのか、 さきの身体はまた動かなくなった。足を開こうとすると必死に開くまいと膝を堅くする。「く」と葵の喉から声が漏れた。弱い抵抗しかできない さきへの嘲笑なのかさきの微動で擦れた下半身が疼いたのか。どちらにしろ最低だった。俺も。葵も。
葵の手が さきの胸を包んだ。まったく手に力の入っていない優しい手つきだった。俺たちがやろうとしてることに激しく矛盾すような目の前の光景に腹が立った。きっと葵も、脱がしてる俺にこんな感情を抱いていたに違いない。自分に似た顔が幼なじみを犯してるなんて本人の意を介さずやっている行為のはずなのに、俺達はまるで恋人を抱くかのような手つきでこいつに触れている。









蝕もう





 

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