振り

□たれめ爆弾
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どうも。ななの親友のようこです。友達じゃなくて親友です。よくななの飼い主と言われますがあたしにはそんなつもりはまったくありません。つーかむしろあたしがななのペットなんじゃなかろうかというくらいななにベタぼれですがなにか。

そのなななんだけど、先日図書委員の仕事してるときに七組の阿部にパクられたらしく。あ、パクられたってのはつまり告られたってことでね、うん。むかつくのでパクられたといっとるんですね。
ななもずっと阿部のことが好きで気になってて、二人の恋路が一つになったわけである。たれ目やろうやりやがったな。

それ以来、なながあたしとあんまつるまなくなったとか喋らなくなったとか、そんなことは起こらなくて。逆にお前ら大丈夫なのかと問いたくなるほど二人が一緒にいるところを見ない。ななのことだからたれめが冷たいとか、寂しいとか、どっかで愚痴られるかなと期待していたがそれもない。むしろ野球部に尽力を注ぐたれめを、うっとりと語るななの顔を見せてやりたいものだ。
たまに、たれめがひとりで弁当を広げてるときとか、一緒に食ってこいとあたしがななを送り出してやるほどだ。
なるほど。部活忙しい彼氏をもつとこうなんのかと、勉強になった。んー。今気になるサッカー部がいんだけど、考え物なのかもしれない。あたしには無理だ。




「なな、今日阿部部会で終わるらしいから、あたしもう帰るよ」



「え、あ…うん!」




ありがとうようこちゃん!と無垢な笑顔を向けられて、あたしは今日もななとたれめの恋路を見守るのであった。








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