振り

□呼び水
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珍しくななの家でこうやって二人だけの時間を楽しんでいるわけだが、せっかくのオフなのにななはどっか遊びに行くとかじゃなくてよかったんだろうか。俺は、ななとならどこでも楽しいんだけどな。
楽しそうに笑ってるななをみてると、そんな俺の頭ん中が馬鹿らしくなってくる。俺も素直に、ななとの時間を過ごしたい。



「あずさくん、これみて」

おもむろに携帯を開いて向かいの俺に見せる。俺はよく見えなくてななの隣に座る。まあ隣に座ったら普通に触りたくなってヤバいんだがまあこの場合仕方ないよな、仕方ない。

覗き込んでみたら俺がななに送ったメールだった。「は?」と首を傾げる俺をみてななは小さく笑って



「ここ、字が間違ってるの」


と、とても嬉そう俺を見る。俺は恥ずかしくなってななの携帯をひったくろうとした。したらななにかわされて「ダメだよ!大事だよ!」とちょっと怒られた。何故だ!なおも携帯を取り上げようとななの腕をつかむ。
瞬間ぐらっときた。これまじヤバくねぇか?超自然になな触ってるんですけど俺!このままこの流れを利用して抱きしめたいなとか男の邪な願望がむくりと俺の中に出てきた。そうだ。俺だって…素直に、ななとの時間を過ごしたい。
素直に。


「あ、あずさくん…?」

気づいたらななを抱きしめてた。あー!ダメだ俺ってダメな奴だ!抱きしめたらなんかいろいろしたくなるんですけど!つか多分ななびっくりしてるんですけど!

いきなり空気の変わってしまった俺の部屋。いきなり抱きしめてしまった俺と、俺の腕にすっぽり収まってしまった彼女。







俺、素直になってもいいですか?










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