振り

□オフホワイトの囁き
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真っ白である。


あるぇ?わたしたじまくんちでテスト勉強しようと思って机にノートと教科書どっさり開いてべんきょーしていたはずなのになんでかななんでかななにも考えられない。

「なな俺、ななとせっくすしたい」

ななと、ってまるでわたしいがいにだれかせっくすするひとがいるみたいな言い方だなあたじまくん。でもたじまくんならいそうだねそうだね。なんたって野球部のヒーローだもんね!わたしなんかなんでたじまくんとたじまくんちで勉強する事になったのかいまいちわかっていないよ。あ、なんだかクラスメートのすやまくんに頼まれたんだっけ。いえ近くてなぜかたじまくんがわたしのこと知ってて。わたしはわたしでたじまくんてゆう人気者のいえ行けるってテンションあがってとゆうかようこちゃんが、あ、ようこちゃんは友達だよ!がすごいニヒルに笑って「行ってこい」ていうから来てしまったのだけどまさかまさか勉強以外のことをするとは思ってもみなかったよー。


「…ん、うぅんっ」

「きもちぃ?」


気持ちいいのだろうか。これ気持ちいいのだろうか。とゆうか気持ちいいってなんだ。わたしよくわからないよとりあえず酸素が欲しいと言いますかなんと言いますか…。そして髪の毛がきみの手の下敷きになって若干痛いっす。
がつがつと、まるで食べられるように唇を吸い上げられてやべぇなこれと思いながら押し返した手もあっさり押さえつけられてしまった。だんだん気が遠くなってきて力が抜けると、たじまくんはとても真っ直ぐで純粋で黒を知らない小学生みたいな目でくちべとべとだな、と言った。誰のせいかな。
あーあ。テスト勉強しにきたのに。なぜわたしとたじまくんはくちびるをべとべとにしてるんだろう。理解しかねるなあ。
きっとわたしはこのままたじまくんに流されちゃうんだろうな。そしたらテスト勉強どころでなくなって後悔だとかこれからどうやって野球部の皆さん(特にすやまくん)と接していいのかに悩むんだろうな。ようこちゃんに相談してみよう。きっと聞いてくれる。


「なな、…ななっ」


たじまくんのべとべとになったくちびるからこぼれた呪文がわたしの思考をとめた。
ああ。

頭も、

テストも、

目の前の純粋なたじまくんも、





オフホワイトの囁き





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