みくちゃんがたじまくんのこと好きらしい。 わたしの姉貴分のようこちゃんからそう聞いてわたしは首をかしげた。姉貴分て言っちゃった!うわ!と、ともだちです! なんでわかるの?と聞けば「最近たじまの前でそわそわしてんじゃん」となんでも無さそうなことのように言う。ようこちゃんはなんでもおみとおしだ。 「あんた鈍いねぇ」 優しく笑ってわたしに言う。そうだ。ようこちゃん、とっても美人なのだ。 「で、あんた最近阿部とはどうなってんの?」 「…」 ようこちゃんは、なんでもおみとおしだ。 実は先日、あべくんにこ、こ、こくはくされました…!人生初のこ、こ、こくはくを体験したわたくしななはまあ驚きますよね〜あはは。 「阿部もなんでそんないきなりねー」 うん。本当に突然だった。わたしあべくんとちゃんと話したことあっただろうかと疑問に思うくらいあべくんには接点がなくて…。接点…、田島くんくらいかな。 「あんたもあんたで酷いことしたよね」 ぐっ。それをいわれたらお終いなんだよようこちゃん!そんなニヒルに微笑まないで!たしかにわたしはびっくりしすぎて逃げてきちゃったけど、ちゃんと落ち込んでるんだからね!…。あべくんに、きちんと返事をしなくちゃ…。 「あんたもしかしてまだ返事してないの?」 ようこちゃんはなんでもおみとおしである。 「…あんたねー。ちゃんと考えてんの?さすがに阿部に同情するわ」 うう。わかってるよーぅ。ちゃんと、答えたいけどわたし、あんなにドキドキしたのあの日が初めてなんだもん。 あんな風に、真摯で、真っ直ぐな瞳を貰ったの、初めてだったんだもん。ようこちゃんだってきっとドキドキしちゃうよ。ましてやよく知らない人からそんなのもらうなんて、思いも寄らないもん。 「なな〜顔赤いわよ〜」 「えっ!?」 「うっそー」 まああんたのことだし、じっくり考えてあげなよ。アイツは、中途半端じゃ告ったりしないからね。と、ようこちゃんはまた笑う。ようこちゃんにはあべくんの気持ちまで透けて見えるらしい。 …でもねようこちゃん。ようこちゃんが見抜けてないこと、わたしひとつ知ってるの。 たじまくんとようこちゃん、両思いなんだよ。 沈没少女の恋患い |