振り

□こくまろ
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昼休み。いつもはべっこでかこむテーブルに今日は花井と水谷と…ななみを誘った。
理由は特にないけど、最近こいつに全然かまってやれてなくて、まあ虫よけになればいんじゃね?くらいのつもりで呼んだ。

ななみがいるからかいつもより会話が多い。つーかくだらないのが少ない。まあ部活以外あんまはなさねーけど。
あきらかに花井も水谷も話題を選んでいる。
花井はともかく水谷の日頃のウザさを考えると、ななみ効果は大したもんだ。

「うっ」

小さくうなってななみの顔が苦しそうに歪む。いきなりだったから三人同時に固まったけど、飯が喉に詰まったんだろうと理解して、人のいい花井はななみを覗き込みながら背中をさすった。

「ななさんお茶っ」

ななみの向かいに座っている水谷がペットボトルを差し出す。ななみはそれを苦しそうに笑って受け取って、それを口に含んだ。
こくん、と喉がなる音がしてあ、俺彼氏なのになんもしなかったなとかボーっと考えてたら、ななみが小さく咳をついた。
あははと照れたように笑うのが、彼女贔屓を抜きにしてかなり可愛い。とかって腹んなかあっためてたら、ペットボトルを持ったまま笑うななみがとんでもないことを言いだした。

「これ、はないくんの味がするね」

ありがとう、とペットボトルを花井の前に返すななみをよそに水谷と俺がまた固まって、花井にいたっては顔を真っ赤にして石化している。

「か、かんせつキ」

余計なことを言おうとする水谷のすねを蹴ってななみの腕を掴んで立ち上がった。











(終わり)




(重要→水谷氏は花井氏のペットボトルを差し出している件)
 

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