振り

□きーぷ・まい・へっど
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落ち着け俺。


いや、うん。俺だけじゃないよ。巣山も驚いてるよ!
なんでななさん寝てるのかなー?もう夜ですよー?
真っ暗ですよー?


巣山と目を合わせて、二人して呆然とする。
お互い考えてることは、多分一緒なんじゃなかろうか…。


…。


危なすぎだろう。誰か起こそうよ。
つかどんだけ爆睡してるの。
座ったままとか腰にきそーだな…。
あ、電気消えてたから先生たち気づかなかったのね。
友達とか…あ。あの人そんなことしないよね。
なんだかななさんペットみたいに扱ってるし。



「…どうする?」


「そりゃ…」



それは起こすけど、問題はそのあとだ。
起こすだけ起こして置いて帰ったら…
ななさん、多分一人で帰えせない。

や、この夜道女の子一人で帰らせるわけじゃないけどさ。

方向どこか聞いてついていけばいいんだけど、うーん。
遠かったら時間かかるしなー。


「いちおみんなに相談してこ?」


俺みんなんとこ行ってくるから起こして連れてきてな、と言って巣山は走っていってしまった。
教室に取り残されてえー、と思ったけど、とりあえず起こすことにした。



「ななさーん」



呼ぶだけじゃ起きないだろうから、結構強めに揺すってみる。
けど返ってきたのは可愛らしい寝息だった。


…って俺可愛らしいてなんだよ!


違う違う!と自分を諫めて、もいっかい揺する。
や、起きるまで揺するけど。

うおーい。

「ななさーん。朝だよー。学校遅れるよー」



お母さんみたいなことを言ってみる作戦は見事玉砕して。
静かな教室の中、なんだか無駄に恥ずかしくなった。


なにしてんの俺…。


…………顔が熱いです。

って、ゆーか、
ななさんて、やっぱまつげ長いんだなー。
肌白いし、手首もげそうなくらい細いし。

手はちっさいげど指、結構しっかりしてるんだ。
あ、れ?指、まめだらけ…?
よく見たくてななさんの手首を掴んだら、ななさんの目がうっすら開いた。



「栄口遅い!」




俺がびびるより先に、巣山が戻ってきた。

ななさんの、…あ、れ?すやまくんと、え、と…えぐちくんだ〜、となんとも間の抜けた声に脱力する俺だった。






(俺は栄口なんだけどな…)
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