あべくんは、こんなことしない。 わたしの服を捲る手を、必死で抑えようとしてるのにあべくんはやめてくれない。 学校の屋上。 最近あべくんと一緒にお昼してなかったからうれしくて階段を駆け上がってドアを開けたら、いきなり視界が真っ暗になった。 数秒後。 視界が開けたら、あべくんの顔が見えてあべくんがわたしに跨っていることがわかった。 ひとつづつ、器用にブラウスボタンをはずされて、わたわたしてる間に、あべくんはスカートの中に手を入れていた。 「あ、べく」 「なに」 やめて、て言おうとしたら、ふとももを撫でられてびっくりしてしまった。 ニタリと笑うあべくんがほんとに怖くて、肘をついて体を反転した。 背を向けたけど、あべくんの体の下にいるのは変わらなくて。 …どうすればいいかわからない。 「なん、で…?」 「さぁな」 背中からブラウスの中に手が入ってきて、大きくまくり上げられる。わたしはあわてて脇を力いっぱいしめるけど、なんにもならなかった。 涙が、とまらない。 「いいのか背中見して」 低く囁かれた声もいつもとぜんぜんちがくて、わたしの知ってるあべくんじゃなかった。 「あっ」 つ、と背中をなぞられて、たまらず喉がなった。 乾いた笑いが聞こえる。 だれ?このは人だれ? 声を抑えようと乱れたブラウスを握りしめるけど、あべくんの指はぜんぜん休まらない。 下着のホックに、指があたって、肩がはねた。 首にあべくんの息がかかる。 やめて、やめてと声をひねり出してみても、あべくんには届かなかった。 プツン、と音がしてあべくんが手を差し入れて肩のストラップをずらした。 「こっち向けよ」 乱暴に肩をつかまれ身を返されて、逆光の中のあべくんと目があった。 表情はよく見えない。でも…すごく、おこってる。 どうして? 一瞬見詰め合って、外気にさらされた胸を隠そうとしたけど、手首を掴まれて押さえ込まれてしまった。 「は、…いい眺め」 照りつける太陽が、あべくんの冷たい視線が、素肌にしみる。 |