探してた。
何をと聞かれてもわからないけれど、
何かを探していた事は確かだった。


生きてちゃいけない存在だとか、
殺される運命だとか言われても、
それが本当かどうか何て
分からないし、確かめたくもない。

そんな捻くれた子供だった事は、
おれが1番分かってる。

それにそんな風に、言われて育てば、
誰だってそうなるだろう。


確かめる必要なんて無かったのに。
生きていても良いなんて、言って貰えるはずも無いのに、
おれは欲張りだから。

だから、産まれた瞬間から
何かを探してたんだと思う。


その探してた何かなんて、
おれは今でも確証が持てない。

でも、確かに答えは見付かった。

おれは、生きてて良かったんだ。

いや、


生きてきて、良かった、
そう思う。


こんな欲張りなおれは、
探した末に、やっと居場所を見付けられた。

こんなおれを、大事にしてくれる奴らが居る。
慕ってくれる、奴らが居る。

兄ちゃんって呼んで、着いて来る弟が居る。


生きてて欲しい、と言ってくれた。


その言葉、それだけが欲しかった。


なァルフィ。
泣くなよ。

もうおれは、お前を抱きしめて頭撫でてやる力もねェんだ。

兄ちゃんって着いてくる、
馬鹿な弟が居てくれて、
おれは本当に良かった。

だから、泣くな。

お前が悪いんじゃない。
悪いのは、欲張りなおれだ。

おれは、感謝してるんだ。

探してた物なんて、本当は最初から目の前にあったのに。


欲張りなおれは、
気付かないまま、探しに出たんだ。

だから、今、やっと気付いた。

なァ、
今からでも遅くないか。
こんな心の葛藤を聞かせる力なんて、
もう無いけど。

これだけは、言える。


「愛してくれて、」



ありがとう。


返信はmemoにて



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