アイシ

□カミサマ、この恋を
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校舎の窓から校庭を眺める。

今は2時限目でうちのクラスは自習で教室内は好き勝手のカオス状態で。

課題が終わった私はカオスに混じることなく、一人で窓枠に肘をついておとなしくしている。

別にマジメぶっている訳ではなく、女子高生らしい気力が湧かないのだ。

(みんななんであんなに楽しそうなの。)








前々からそれっぽい雰囲気が漂っていたヒル魔くんと露峰さんが、とうとう公式に彼氏彼女になったらしい。



部活ではいつものまもり母さん、教室では素でヘコんでる姉崎まもり。(クラスの子、心配かけてごめん)


部活内だけではなく、どこから広まるのかあの蛭魔妖一に彼女ができたことは校内の大きなニュースに。

――そういえば最近朝いなくない?彼女と会ってから登校してるらしいよ。マジで!?相手どんな子?オレこないだ単車に2ケツしてんの見た!――


噂通り彼は朝練後、わざわざデートをしてから再び校内に戻ってくるようだ。

今もちょうど窓の下辺りに、重役出勤してきた彼が見える。
髪が若干寝ているのは彼女の改造単車で飛ばしてきたからだろう。


他の人なら気づかないこと。部活で多く顔を合わせるから、というかいつも目で追ってしまう私だから気づく少しの変化。






「‥恋って難しい‥。」
心臓がつぶされる感覚。某片思い漫画のセリフがつい口からこぼれた。

(‥!!!!!!!)



そのとたん進行方向を向いて通り過ぎようとしていた彼が急に私のほうに顔を向けた。


びっくりする。
上から目線のようなイタズラ顔のような、なんともムカつく表情で笑ってるし。





だれがあいてだかしらねぇが、じょうほうていきょうありがとう


(な!なんでこの距離で聞こえるの!?
ていうかわざわざハンドサインよこすな!)
わざと怒ったように睨んだら、満足そうに去っていった。


相手はあなたなのよヒル魔くん。


こんな立場になったのに、それでも目が離せないなんて。









怒り顔のまま泣き顔になり、私の右目から小さな涙がぽろんと落ちた。




END

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