題名(C)確かに恋だった
□なみだ色の海に溺れた・3
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短め。
教室のドアが開いて、入ってきたのは高木さんだった。
続いて、見吉さんが顔を覗かせる。
「新妻さんも点数ヤバかったの?私も平均ギリギリでー。」
「あ、平均下げたの僕です。特訓してるんで、次の小テストはもっと上がりますよ。」
「ヤダなんでそんな頑張ってんですか。やけに自信あるっぽいし。」
「秋名さんのおかげでーす。見吉さんも習います?」
勉強なんてウンザリというような、露骨な表情の彼女に提案する。
なぜか余計にウンザリな顔をされた。
「私は遠慮するー。だって岩瀬さん、私に冷たいし。」
「違いますよ。秋名さんは大体みんなにそんな感じです。」
「‥‥新妻さんて、意外に大人だよね。」
話題にされてる当の本人は、自分のペンケースを握って一点を見つめる。
瞬かない瞳は揺れもせず、言い返す素振りは無い。
いつも通りの強い視線。
微妙に震える手を見て、ふざけた僕の言葉への怒りを収めてるのだと、この時は思っていた。
20101019
続
珍しい、新妻氏とカヤちゃんの会話。
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