ごちゃまぜ

お返し
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「でもま、おっさんはいない方がいいや」


「はぁ?なんでだよ?」


笑顔でそう言ってきたから睨んでやった。
それじゃまるでカロルが邪魔者みたいに聞こえんじゃねぇか。


「そんなに怒らないでよ。これを青年に渡したかったから二人っきりの方がよかったのよ」


「あ…」


そう言って俺の目の前に置かれた物。
俺の大好きな…


「プリン…!」


「因みにさっき出来たばっかりよ」


つい嬉しくて目を輝かせながらプリンを見つめちまう。
そんな俺を見ておっさんは嬉しそうに微笑む。


「お、俺が食っていいのか?」


目の前のプリンをジッと見つめながらおっさんに問いかけた。


「もちろん。バレンタインのお返しに作ったからね」


「バレンタインのお返し?」


おっさんの返事を聞く前にプリンを頬張っていた俺は手を止め顔を上げた。


「そっ!今日はホワイトデーだから」


ふーん、と。
我ながらどうでもよさそうだと思うが今はプリンを食べたい。


「…自分から聞いてきたのに無関心すぎる。相変わらずユーリは甘いもの好きなんだから」


おっさんは小さく呟くと俺を優しい瞳で見つめてくる。


「ユーリ、美味しい?」


「ん?ああ、美味しい」


プリンが食べれたことと、プリンぎおいしいとのダブルの嬉しさに俺は満面の笑みで答えた。
おっさんの顔が赤いが気にすることないよな。


けどおっさんが急に胸を押さえだして。
俺は心配になり声をかけた。


「おっさん、苦しいのか?」


「そんなことないわよ、おっさん元気だから!!」


俺の問いにニッと笑顔で言ってきたから大丈夫なんだろう。
またプリンに目線を戻した。


けど今度は首を振りだして。
そして何かを思いついたように口を開く。


「ねぇ、ユーリ」


「んー?」


俺を呼ぶから返事をする。


「おっさん、来年のバレンタインはユーリが欲しいな!」


「ゲホっ!!!!?」


おっさんの発言に思わず蒸せてしまった。


「急にバカなこと言うなっ!!」


「いたっ!!」


変なことを言ってきたことに腹が立って持っていたスプーンを投げてやった。


「俺は本気なのに…」


「っ…、俺もエステル達のとこ行ってくる。おっさんといたくない」


「えぇ!!?」


驚くおっさんを無視して歩きだす。


いったい何考えてんだ、あのおっさんは!
チラリと後ろを見ればがっくりとうなだれているおっさんの姿が目に入った。


「…」


ここは少し素直になるか。
俺はおっさんの方を向き口を開いた。


「レイヴン、プリンうまかった。ありがと…な」


照れながらそれだけ言えばレイヴンの顔が嬉しそうな顔へと変わる。
今日だけ…今日だけだ。








(プリンがうまかったのは事実だからな)






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レイヴン目線と両方あったのですがユーリ目線だけに変えました!
 
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