ごちゃまぜ
□もし入れ替わったら1
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「え、エステル!!」
裏がえった声でエステルの名前を呼ぶリタの様子もやはりおかしい。
「はい、なんです?リタ」
「あああ、あんたねぇ、今ユーリの姿してるんだから気をつけなさいよっ!!」
「はぁ?」
「はい?」
「そうだよ、気を付けなきゃ!!」
カロルまでもが変なことを言い出しユーリとエステルは揃って首を傾げる。
いったいこいつらどうしたんだ?
「そーよ、ユーリは黙ってればそこらの女よりうんと綺麗なんだからっ!!あんな笑顔見せられたら普通の男なんかぶっ倒れるわよ!!あ、でも中身がユーリだからいいのか?」
「おっさん、意味わかんねんだけど…」
真剣に考えてるレイヴンにユーリは呆れている。
「あの…みんないったいなんのこと言ってるんです?私が笑ったのがいけなかったんです?」
みんなの威圧にビクビクしながらもエステルは気になってることを聞く。
「みんな、ユーリの笑顔は可愛すぎるから人前では笑ったらいけないって言ってるのよ」
ニッコリ笑って言うジュディスの言葉を聞いた途端エステルは、あぁ!、と頷く。
「なるほど、そうですよね…気を付けないといけないですよね!!」
ジュディスの言葉の意味が分かったのかエステルは一人頷いている。
おいおい、俺全然わかんねえんだけど。
1人だけ話が分からず置いてきぼりのユーリはだんだん腹が立ってきたのかレイヴンのお尻を蹴飛ばした。
「いったぁ!!!ちょ、青年なにすんのっ!?」
「うるせぇ、俺がわかんねぇ話するから悪いんだろ?」
ニッコリ笑ったユーリ。
その笑顔はエステルの顔だがレイヴンは青ざめる。
「せせ、青年?目が笑ってないよ?」
「あ?気のせいだろ」
「ねぇ、ユーリ」
相当怒ってるであろうユーリに声をかけたのはカロルだった。
「その姿じゃ嫌かもしれないけど…買い物付き合ってくれない、かな?」
ちょっと困った風に言うカロルを見てユーリは一瞬キョトンとするがすぐ笑顔になる。
いいぜ、じゃぁ行くか」
その台詞を聞いてカロルの顔がパァと明るくなった。
「うんっ!!あ、ついでになんか甘いもの食べようよっ!!」
「あぁ」
カロルは嬉しそうにユーリの手を引っ張った。
その光景はまるで兄弟のように見える。
「俺様の時と笑顔が全然違う…」
ユーリに蹴られたお尻をさすりながら2人のやり取りを見ていたレイヴンは小さく呟いた。
「あ、ちょっとユーリ」
「なんだ?」
リタに呼び止められ振り返る。
「あんた今はエステルの姿なんだから言葉使いには気を付けなさいよ?それと態度!!失礼なことしたらだめだからね!?」
「はいはい、気をつけますよ」
ユーリはリタの言葉に適当に返事を返す。
そういや今は俺じゃなくエステルの体だもんな。マジで気をつけねぇと。
「あと」
「まだあんのかよ」
「うるさいわねっ!!元に戻る方法、探しとくから」
「それは助かるわ。ありがとな」
エステルの顔でニッコリ笑うとリタの顔はまた赤くなっていく。
「べっ、別にあんたの為なんかじゃないわよっ!!」
プイッとそっぽを向いたリタにユーリは苦笑いをした。
(エステルの顔でも中身はユーリなのよね…あぁもうっ!!調子狂うじゃない!)
「リタ、もういい?僕早く買い物行きたいんだけど…」
カロルの声にリタは我に返った。
「え、あ、もういいわよ」
「よかった。じゃぁ行こ、ユーリ!」
「そいじゃ行ってくるわ」
「いってらっしゃい」
「気を付けて」
バタンと扉が閉まると同時に、はぁ、とため息が聞こえてきた。
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