ごちゃまぜ

バレンタイン
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ものすごく…視線が痛い。
いったいなんなんだよ。
はぁ、とため息をつき声をかけた。


「おっさん、さっきからそんなに俺の顔見つめてなんか用か?」


振り向くとおっさんと視線がバチッと合う。
その瞬間おっさんの顔が明るくなって。


「よくぞ聞いてくれたっ!!!」


あ…聞かない方がよかった。
ややこしいことになりそうなのをすぐさま察知。


「ユーリ、もうすぐバレンタインでしょ?」


おっさんは機嫌がいいのかニコニコしている。


「そういやそうみたいだな」


エステル達がなんか騒いでたもんな。
どれあげる、これがいんじゃない、とか大きな声で。
まぁエステル達のことは置いといてだな。


「それで?バレンタインなのと俺、なんか関係あんのか?」


俺の問いにおっさんは笑顔のまま何回も頷く。
そして…


「ユーリィ…」


突然のおっさんのの甘えたような声にぞわっと鳥肌がたった。


「おっさん…キモイんだけど」


冗談じゃなくてマジで。


「青年は相変わらず酷いわね!!」


「いや、酷いとかの問題じゃねえし。気持ち悪い声出すからだろ」


腕をさすりながら俺は本気で引いていた。
年考えろよな年。
そんな俺におっさんはムスッとしながらも話を続けた。


「あのさ、青年はもちろんおっさんにくれるよね?」


「何をだよ?」


「チョコレートに決まってるでしょ!」


「…なにが嬉しくて男が男にチョコあげんだよ」


おっさんを白い目で見ながら答えた。
本当のこと言えばあげたい。
けど俺は素直に言えねぇからついひねくれた言い方になっちまう。


「そりゃおっさんがユーリを好きだからじゃない。好きな子には貰いたいでしょ?」


「すすす、好きとか言うなよな!!」


俺の考えてることバレたかと思った。
顔に熱を感じる。
これはきっと顔が赤いから…サラッと好きなんて言ってくるおっさんのせいだっ!


「青年は可愛いわねぇ。どれだけおっさんをハマらす気なんだか…」


やれやれ、と首を振りながら言うおっさんを見て首を傾げた。


「ハマらすとか別に俺なんもしてねえぞ?」


なんかした記憶はない。
それとも俺が覚えてないのか?


「そういう自覚ないとこも…おっさんは好きだな」


「…っ…」


また…好きって言った。
俺はもう何も言えなかった。
いや、言わなかった。
言えばまた言われそうだから。
これ以上言われれば俺の心臓が保たない。






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