ごちゃまぜ

先生
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「ほら、みんな早く並んで」


「どうして並ばなきゃいけないんだよ?」


「そうよそうよ!こんなことなら教室でご本読んでた方がマシよ!」


「リタは相変わらず先生言うことより本なのね」


「あたりまえでしょっ!!」


「うわあああん!!!」


「レイヴンせんせぇ、カロルくんが泣き止んでくれません」


「あーもう!カロルくんどうしたのかなぁ?」


「ふぇ…ユーリくんが僕のこと蹴っていじめてくるのー!!」


「こらっ、ユーリくん!」


「俺は別に何もしてないぞ?」


「…………はぁ…」


俺はレイヴン、この幼稚園の先生をしているんだが…


この子達はそれぞれ個性があって毎日大変だ。


いつもぶっきらぼうで何を考えているか分からないユーリ。


幼稚園児なのに本業忘れて本ばっかり読んでるリタ。


そんなリタの傍にいつもピッタリくっついているジュディス。


ユーリにいじめられて大泣きしてるカロル。


そして…。


「せんせ、ダンスの練習はしないんです?」


こんな状態にもかかわらずおっとりマイペースなエステル。


「いや、先生もしたいんだけどね?」


カロルを抱き上げたままエステルに苦笑い。


「…しないんです…?」


エステルの目がうっすら涙で滲み始めた。


「(やばっ…!!)」


「私、楽しみにしててっ、毎日練習して…たのに…」


その言葉と同時にエステルは泣き出してしまった。


「(泣くとは思ってたけど…相当楽しみにしてたのね…)」


泣いているエステルの頭を優しく撫でてあげる。


そんなレイヴンにエステルは泣くのをやめ、微笑んだ。


「ダンスの練習は出来なかったからもう教室戻ってお昼寝しましょ」


「はいっ!」


「みんな、教室戻るわよー!」


「練習、中止になったみたいね」


「中止でいいのよ。さっそくさっき読んでたご本の続き読まなきゃ」


リタはスクッと立ち上がりジュディスと一緒に教室へ歩き出す。


「ほらユーリくんも」


「はいはい」


みんなそれぞれ教室に向かう中大きな声が響きわたった。



「ユーリッ!!」



ユーリを呼ぶ大きな声にその場にいた全員が振り返る。






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