ごちゃまぜ

ずっと傍にいてほしかった
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「ユーリッ!!」


俺を…呼ぶ声が聞こえるー…。


「いやっ…、こんなの嫌!!ユーリ、ユーリッ!!」


この声は…。


「ユーリ…、目を開けてっ、くださっ…ひっく…」


あぁ…エステルか。泣くなよ…俺は…


「……エステル…」


「…!!ユーリ!?」


うっすらと目を開ければエステルがいた。


涙でぐちゃぐちゃになった顔をして…。


「お前、相変わらず泣き虫…、だな」


必死に笑う俺を見て更に泣き出すエステル。


涙を拭いてやりたいのに…体に力が入らない。


「誰の、せいですか。ユーリ…大丈夫です、必ず私がっ、私が助けますから!!」


「……っ…」


エステルは必死に力を使って俺の傷を治そうとしている。


「私…私が、助けますからっ…!!」


泣きながら必死に、必死に…。


「エス、テル。もういい、から」


「何がいんですかっ!?」


凄い気迫で振り返ってきた。


「自分の体はっ、自分がよく…分かるって言う、だろ?」


そう…他の誰よりも一番。


「そんなことありませんっ!!大丈夫です、私にも分かります!!」


「エステル…」


お前にだって本当は分かっている筈だ。


傷口は塞がっていない。


ただ血が止まらずに流れているだけだって。


だからそんなに頑張らなくていい…


俺なんかの為に力を使うな。


俺は力の入らない手でエステルの手を掴んだ。





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