ごちゃまぜ
□もし入れ替わったら3
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あーぁ、どうしてこうなったんだろ。
俺の横には楽しそうに話してるカロルとフレンがいる。
でも俺は俺の姿じゃない、今はエステルの姿。
正直エステルの振りをするのは疲れる。
なんせあの喋り方…あれが一番やっかいだ。
長いこと一緒にいるからどういう風に喋んのかはよく知ってるけど…あいつはなんであんな喋り方してんだ?
お姫様でも普通に話せばいいのに。
まさかこんなに大変だとは思わなかった。
小さくため息をつくとそれに気付いたのはフレンだった。
「エステリーゼ様?どうかしましたか?」
「なんでもね…なんでもないですよ、大丈夫です」
ユーリはフレンに向かってニッコリ微笑む。
この作り笑顔も疲れるな…。
「あ、ユーリ、長いこと歩いてるんだし疲れた?」
「ばっ!!?」
笑顔で言ってるカロルにはきっと悪気はない。
そうだと分かっててもフレンがいる今名前を出すのはいけないこと。
「ユーリ?」
「なっ、なんでもないんですよフレン。そう!カロルはよくユーリと買い物に行ってるので私とユーリを間違えたんですよ!!ねっ!そうですよね、カロル!?」
凄い勢いでカロルを見るとすぐさま、そうそう!!と話を合わせてくれた。
「そうだったんだ。ユーリが居たのかと思ってびっくりしたよ」
ははっと楽しそうに笑うフレンを見てユーリはほっと胸をなで下ろした。
こういう時フレンが鈍くてよかったとつくづく思う。
チラリとカロルを見ると手を顔の前で揃えて、ごめんと謝っている。
そんなカロルに小さく笑いかけ常々早く自分の体に戻りたいと願うユーリだった。
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「リタ、この本にも特に何も載ってませんでした」
「そう…やっぱりそう簡単には見つからないか」
「そりゃそぉよ、こんな体が入れ替わるような出来事今までなかったんだから簡単に見つかる方がおかしいわよ」
レイヴンは両手に持っているカップをそっとエステルとリタの前に置いた。
「ありがとうございます、レイヴン」
「あ、ありがと」
笑顔でお礼を言うエステルと少し照れながらお礼を言うリタを見てレイヴンは頷く。
「それにしてもユーリとカロル遅いわね」
「そうですね…何もなければいいのですが」
そんな会話をしているとガチャと扉が開く。
その音を聞いて全員の顔が明るくなった。
レイヴンはエステルの姿をしたユーリが入ってきた途端抱きつきに走る。
「ユーリッ!!遅かったからおっさんもう寂しくて死んじゃいそうだったわよ!!」
「きゃぁ!?」
「「「きゃぁ?」」」
エステル、リタ、レイヴンの声が重なる。
「今の…?」
ユーリに抱きついてるレイヴンは自分のすぐ傍で聞こえてきた声に耳を疑う。
「(おい、おっさん離れろよっ!!)」
「(な、なんかあったの?)」
ユーリの小声につられレイヴンも同じく小さな声で聞き返す。
「(ああ、ちょっとやばいことがな…だから取りあえず離れてくれ)」
「(うん…)」
いまいち意味が分からないもレイヴンは大人しくユーリから離れた。
そんなレイブンにユーリはため息をつきそして微笑んだ。
「もうレイヴンてば…急に抱きついてくるのはやめてくださいね?さぁフレン、入ってください」
「え…」
「はい…あ、ユーリ久しぶり!!皆さんもお久しぶりです」
ニッコリ笑うその人物を見た瞬間その場が静まり返り次の瞬間…
「「「え、ええぇえ!!!?」」」
ジュディスは楽しそうに笑う中三人は凄まじい叫び声を上げた。
「ふふふ、フレン君!?」
「フレンどうしてここに!?」
「それがさっき買い物途中に偶然会ったんですよ。ね、カロル?」
「うん!」
全部事情を知ってるカロルはユーリの問いに笑顔で頷く。
「ちょ、あんたその喋り方…!」
「はい?なんです、リタ」
完璧にエステルになりきってるユーリにリタは呆然と立ち尽くす。
色々と突っ込みたいところだがフレンがいる今下手なことは言えなかった。
「あのフレン、今は色々あって私…」
「私?ユーリ、いつから私なん「ちちち、違うのよ、フレン君!!おっさん達さっきまで別の人に成りきる遊びをしててね?それがまだ抜けてないのよ!そうよね、ユーリ!?」
「(嬢ちゃん、ここは俺に合わせて!)」
レイヴンの言葉にエステルは今ユーリの姿をしていると言うことを思い出しハッとした。
「あ、あぁ。そうなんで…そうなんだよ、驚かせて悪いなフレン」
エステルの言葉にみんなが一斉にため息をついた。
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