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………。
………?
………っ!?
「おいバカ…っ!どこ触ってるんだ!?」
「どこ、って…先生、繋がろう…?」
「は……?そんな、男同士で繋がっても何の生産性も…ていうか、そこ……っ?」
「え…。だって男同士だとここを……。…もしかして先生…」
…知らなかった。
というか、男と、なんて思い切り思考の範囲外だった。
「は、初めてだったんだね…っ!?」
何か嬉しそうだ。
「………」
…悪かったな、この年で童貞でっ。
「…俺、先生の事一生大切にするから…!あ、別に初めてじゃなくても大切にしたけど。…でもどうりで…」
「…どうりで、何だ」
「いや、反応が初々しいな、って…。さっきも…」
「…分かった」
俺はスザクの言葉を途中で止めた。
「あっ、でもということは、先生経験も無いのにあんな授業を…」
「………っ」
二人して真っ赤になる。
「…じゃあちょっと痛いかもしれないけど…、すぐ気持ちよくなるように頑張るから!」
そう言ってスザクは再び俺を扱き始め、同時にその零れてくる蜜を使って、後ろの穴を撫で始めた。
「ふ……っぁ、ん…んん…っ」
ぷちゅ、とスザクの指先が入り込んだ。
「ひぁ……っ!」
何かむずむずする。
スザクの指がどんどん深くなって、動き回る。
「ん……く……っ」
指がいきなり曲がって、深く擦られた。
「ふあぁンっ……!!」
な、何だ今の…!?
凄い電気みたいな…。
スザクがしたりと笑う。
「先生、ここ?」
再び先程の場所を擦られる。
「ひあぁっ…!!」
何だこれ…。
なんかもうぐちゃぐちゃで何も考えられない…。
「すご…っ、先生いきなり柔らかくなったよ。…でも先生こっちでも大丈夫で良かった」
スザクが前と後ろを同時に擦ってきて、身体がガクガクする。
「ぃあ……っスザクぅ…っなにこれ…。へんっ…なんかへんだ…っ!!」
「先せっ……。可愛い…多分前立腺だと思うよ?」
前立腺…?
前立腺ってあの前立腺か…?
見慣れた図が頭の中に浮かび上がる。
「大分柔らかくなったし、…そろそろ良いかな…?俺ももう限界…」
「……?」
スザクの指が引き抜かれる。
「ふあっ…」
待って…。
まだ欲しい…。
「ん…っ」
思わず不満気な声を漏らすと、自分のジッパーを下ろしていたスザクがこちらに目を向けた。
「…!先生…そんな目で…っ。可愛い…。……俺、先生もしかしたらこういうの嫌いかな、とか思ったけど…、すっごくえ っ ちなんだねっ」
張り詰めたスザクが当てられる。
熱い…。
「…バカ…。お前だからに決まってるだろう…!俺はもともと淡白だったんだ…!」
「先生…っ。本当っ?俺だからなのっ?」
「…本当だ。お前でなかったら、最初からこんな事許してないし、…誰に見せるかっ。こんな恥ずかしいところ…っ」
「先生…っ」
スザクが一瞬、泣きそうに見えた。
スザクが俺の中に埋まっていく。
拡げられる感覚と、内壁を擦られる感覚。
指とは比べ物にならない重量感。
少し苦しい。
けれどその存在感が嬉しい。
それがスザクだから。
「先生、動くよ?」
全て挿入し終わってスザクが言う。
「あぁ…」
最初はゆっくり、慣れてくるとだんだん早く、スザクは律動する。
「ん…っんあ…っ」
「先生…」
「何だ…っ」
「先生ありがとう…っ俺を…こんな俺を…受け入れてくれて…っ」
「ばかっ、そ、んなっ事言うな…っ」
「うん。でも言いたいんだ、先生…。ありがとう…っ」
バカ。
ありがとうは俺の方だ。
こんなにも愛してくれて、大切にしてくれて、俺に、こんなに暖かい愛しい気持ちを抱かせてくれて。
スザクが速度を増してずんずんと突いてくる。
「ふ…っあ…っあッ…すっスザク…っスザク…!」
「先生…可愛い…先生…っ」
「スザク…っ」
キスが降りてきた。
スザクの背中にぎゅっと手を回す。
「好きだよ…」
「先生…っ」
至近距離で小さく笑い合った。
気持ちいい。
好きだから。
心が快感を訴える。
「先生…っ」
俺が見上げると、スザクは笑って頷いた。
…あぁ。
波が来る。
「ぁ…っスザ…クぅ…っふ…っふぁああぁっ…!!」
「く……っ」
俺達は同時に果てた。
「せーんせぇ―――っ!!」
…来た?
以前は毎日耳にしていたが、最近は久しく聞いていなかったあの近づいてくる声と全速力の足音、そして…
「先生っ!!」
ノックも無しに、勢い良くこの保健室の扉が開かれる。
…あぁ、昔のまんまだ。
思わず懐かしさまで覚えて、笑みが込み上げる。
唯違うのは…。
「スザク?どうしたんだ、珍しいな」
俺が声を掛けると、スザクはがばっと抱き付いてきた。
…あ、廊下を走るなと注意するのを忘れた。
「…急に会いたくなった。放課後って遠いね、先生」
あの日以来、スザクはそれまでに増して俺にベッタリ張りつくようになった。
「…バカ。お前は学校に何しに来てるんだ」
「そんなの、先生に会いに来てるに決まってるじゃん!」
「………」
…言うと思った。
などと考えているあたり、俺も相当の馬鹿だと思う。
そこのところは、自分でも把握しているので、ご心配には及ばない。
「………」
俺はスザクに軽く口付けた。
「先生…っ?」
「…ほら、チャイムが鳴る前に戻れ。…放課後、待ってるから」
「わ、分かった!」
俺は閉まった扉を数秒間眺めた後、ストンとその場にしゃがみ込んで、頭を押さえた。
「…早く来いよ?バカ」