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カチヤ、とホックの外れる音がした。
緊張で身体に力が入る。
スザクと一つのベッドの上に居る事が、さもこれからの事を表している様で、落ち着かない。
「………っ」
何でも良いから言葉を発して、スザクと自分の気を紛らわしたいのだが、何も見つからない。
「わ……!」
スザクが声を上げた。
「な、何だ」
反射的に問い返す。
「先生のパンツ、エロい…」
「な………ッ!!」
俺は絶句した。
「先生こんなエロいパンツ穿いてたんだー…」
スザクがしみじみと、また何故だか嬉々として呟く。
「うるさいッ!!お前、高校生のくせにオヤジくさいぞっ!」
「酷いなー。だって俺、男子高生だよ?一番盛ってる時だよ」
スザクが俺の上に被さり、色っぽい流し目で顔を近付けた。
心拍数が今まで以上に跳ね上がる。
「…思春期。先生が保健の授業で教えてくれたよね?エロい単語一杯使いながら…」
そう囁いて、触れるだけのキスをするスザクの所業は、とても盛りの付いた男子高生の物とは思えない。
…仔犬みたいなのじゃなくて、こういう顔も出来るのか…。
「エロいってバカっ。神聖な授業だぞ!?」
「…あの神聖な授業にみんな興奮してたけど。ランペルージ先生の卑猥な…」
「ひわ…っっ!!!?」
怒ろうと思ったが、いきなり抱き付かれて留まる。
「俺の可愛い先生が皆の前であんな事…っ。…先生美人だからみんな狙ってるんだよ!?」
何だそれは。
あ…。
「…もしかしてお前、妬いてるのか?」
「………」
拗ねているのか。
…可愛い奴め。
俺はそんな事で、馬鹿みたいに嬉しくなってスザクの頭を撫でた。
…俺はこれだから駄目なんだ。
スザクをすぐに甘やかしてしまう。
…でも、それはこいつの言葉とか行動ひとつひとつに、溢れんばかりの俺への愛情が真っ直ぐに伝わってくるから。
全身で好きだ好きだと、好意を表してくる。
それが俺はとても…
「好きだ」
何かが吹っ切れたような気がした。
「えっ?」
「聞こえなかったのか?…もう一度言うぞ」
気持ちを込めて。
「スザク、好きだ」
「先……っ!」
キスが降りてきた。
今度は深いキス。
スザクはすぐキスしてくるが、それも好きだ。
優しいところも、馬鹿なところも、こいつのものなら何でも。
…あぁ。
俺はいつの間にこんなにこいつに惚れ込んでしまったんだろう?
「責任取れよ?」
「ふぇ?」
唇の離れ際に言う。
「俺に惚れさせた責任しっかり取れよ」
「…!うん!取るよ一生!先生大好きっ!」
俺、こいつの事、好きになって良かった…間違いじゃなかった…と思う。
「じゃあまず身体の方の責任取るね。…ごめんね、放っておいて」
「………っ」
スザクがまた俺の下着に手を掛ける。
やはり慣れはしないが、少し前のような、極度の緊張は無くなった。
ずっと一番恥ずかしい形態のまま放っておかれた俺が、スザクの手によって取り出された。
…こんな状態の俺なんて、誰にも見られた事は無い。
「先生の蜜、あんなに放っといたのに溢れてる…」
「…お前がキスとかするから…っ」
「うん。可愛い…」
スザクはその先端に軽くキスをすると、ぱくっ、とくわえてしまい、舌を使って絡め擦る。
「な…っ口で……ッ!!」
舌の柔らかく、ザラついた感触が堪らない…。
「あ…っ、や…っはぅ…ッ」
スザクが、俺をくわえたまま色っぽい視線を向けてきた。
ぎゅん、と胸の奧が締まる。
そんな…見、たら…っ。
「は…っだめだ…っスザ……っ離…っや、ぃやぁ……で、でる……ッあ…っ!!」
………。
…スザクにイかされてしまった…。
しかも…
「…おま…飲ん…っ」
「…先生早…」
「うるさい…ッ」
皆まで言うな…!!
自分でも驚いてるんだ…!
「怒らないで。先生、可愛いかったよ?」
「……バカ…っ」
バカと言われてもスザクは嬉しそうに笑った。
…ホントずるい奴。