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ルルーシュは僕から離れると、横を向いて座った。
…まさか…っ?
立てた膝の間に両腕を入れてごそごそし始める。
「…っ……ん…」
「!!」
やっぱり…!
ルルーシュが自分で後ろを慣らしてる…!!
…なんだかルルーシュの自慰を見てるみたいな気分だな…。
……この映像をしっかり頭に焼き付けておこう…。
「ふ…、ぁ……ん…っ」
徐々に濡れた音が鳴り始めた。
…大胆だけど、僕に見られてる事分かってるのかな。
話し掛けたら恥ずかしがってやめちゃいそうだけど…。
でもここは…
「…ルルーシュ、こっち向いてやってよ」
話し掛けた途端ルルーシュは驚いてビクッと震えた。
やっぱり僕の存在忘れてたな?
「は…ッ!?何言ってるんだバカ…っ!…ていうか見るな…ッ!」
僕はおかしくてくすくす笑った。
「見るな、ってルルーシュ、そんなところでやってるのに無理だろ?ルルーシュが自分で慣らしてる姿、しっかり見てるから」
「う…るさい…ッ!バカッ!…ふあ…っ」
ルルーシュは恥ずかしい言葉やシチュエーションに滅法弱い。
今も僕に見られてる事を再認識して感度が上がったみたいだし。
「すごい音がしてるね」
「違…っこれはお前の…っん…っ」
「僕がさっき出したの使ってるの?」
「も…っスザク…うるさ…っ、ぁ…っ、すざ…っスザク…っふぁっすざく…」
な、名前…!?
…これは酷い生殺し…ッ!!
と、ルルーシュはとろとろになった顔をこちらに向けた。
「スザク…」
「はっ、はい…?」
「…入れる…ぞ?」
「はい……!」
ルルーシュは僕にまたがると上から腰を落とそうとする。
しかし、自分で入れる経験がそう無い為か悪戦苦闘している。
「ん…っん…スザクっ、入らないっ」
そんな泣きそうな声で言われても…!
欲しいのになかなか入らなくて、もどかしくて堪らないようだ。
「僕の手、縛ったのはルルーシュなんだからね?」
「………」
ルルーシュは逡巡して、それでも僕の手首を解く気は無いらしい。
「ルルーシュ、向き合わせて?」
…ルルーシュの指と入り口が微妙に触れて、もどかしいのはルルーシュだけじゃない。
僕も腰を送って手伝う。
ずず、とルルーシュの中をゆっくり貫き始めた。
「あ…っ、入っ…ぃやあ…っ」
焦らされたルルーシュが僕の上で悶える。
最後とばかり、一気に奧まで突き上げた。
「ひあぁあ…っ!ふっ、深…っ」
ルルーシュが悲鳴に近い高い喘ぎ声を上げた。
「いつもと角度が違うから奧まで入ってるのかな」
ルルーシュは小さくコクリと頷くと、待ちきれないようにおずおずと動き出す。
「ぁ…っあっ、や…っスザク…っ」
ルルーシュの眼はとっくに涙目で、整った眉根はきゅっと寄せられている。
「今日は沢山名前呼んでくれるね」
「…だって…」
「だって、何?」
ルルーシュは少し考えた後、結局目を反らした。
「…何でも無い」
「嘘。何でも無い事無いだろ?さっき僕には言わせたくせに」
僕は腰を使ってルルーシュの弱い箇所を擦る。
「ぁあ…っだ…め…っ」
ルルーシュはびくっと僕をきつく締め付けて上半身を崩した。
「や…っや……っスザク…っ」
「ルルーシュ…」
ルルーシュは僕に抱き付いて甘えるように僕の胸に顔を擦り付けながら腰を動かす。
「スザク…っや…ぁ…っあ…っ」
ルルーシュ可愛い…けどちょっと待って、なんか一人で盛り上がってませんか…?
「ルルーシュ…?」
「ん…っんんっ」
…聞いてない。
「…スザク…っ名前…は、…きだから呼んでる…」
「え?」
「スザク…、…………好き…っ」
「…ルルーシュ、これ解いて?…抱き締めたいから」
「……っ」
ルルーシュは結び目に奮闘するが、力が入らない為か、なかなか綻んではくれない。
「取れない…っ」
…ていうか顔の前をルルーシュの胸がちらちらするのが…。
「ひあ…っ!?」
誘惑に耐えられずぺろりと舐めた僕をルルーシュは信じられない目で見てくる。
「ごめん、つい…」
「つ…い………?」
…あぁ、君がそんなんだから僕は苛めたくなっちゃうのに。
「ルルーシュ、それ解けるまでイっちゃだめだよ?」
「え……っ?」
状況を上手く理解出来ていないルルーシュににっこり笑い掛けると僕は再びルルーシュの胸を弄び始めた。
「っや…っスザク…っ!?」
ルルーシュが慌てて身体を遠ざける。
「ほらほら、早く解かないと…」
そう言って腰を送る。
「ゃぁあ…っ!」
ルルーシュは仕方なく僕の手首に巻き付く布の結び目を解こうと半身を折る。
そうすると僕は胸を愛撫するのだが、ルルーシュはそれに耐えながら小さな布の塊に立ち向かう。
「こ…のサディストが…っ!」
「そんな事言ってると下も一緒に動かしちゃうよ?」
「や…っだめ…っ」
…意地悪かな…。
…意地悪だよね。
でも好きな子だから苛めたいというか泣かせたいというか…。
…僕って子供なのかも。
でも男だったら好きな子の泣き顔見たいし!
「ふ…っ…解けないぃ…っ」
ルルーシュの声が限界だ…。
「頑張って、ルルーシュ」
「あ…だめ…っも…っ、あ…っ無理っ、イ…っちゃ…」
ルルーシュの中がびくびく収縮を始めた。
吐精感をやり過ごすのに精一杯なのか、布に掛かったままの手はもはや動いていない。
「スザク…っ動くな…っ動かな…で…っ」
確かにきつそうなので、ルルーシュが解き終わるまで何もしない事にした。
でも、快感に身体が思うように動かないとは言え、あの超人並みに器用なルルーシュがここまで苦戦するなんて、縛るときに何か、解け難い特殊な方法でも使ったのだろうか。
ルルーシュならやりそうだ。
と、ややあってほっとするような吐息が聞こえた。
「あ…取れた」
僕は涙で濡れたルルーシュの頬にキスをする。
「ルルーシュ、意地悪してごめんね。…愛してる…」
「スザク…」
僕は自由になった両手でルルーシュをぎゅっと抱き締めると、言葉で伝え切れない分を補うように、唇に優しくキスする。
僕達は抱き合って唇を重ねたまま達した。
…矛盾してる、って信じて貰えないかも知れないけど、本当は、いつも笑っていて欲しいんだよ、ルルーシュ。
「フフフフフフフ…」
ルルーシュは一人、悦に入った笑みを漏らした。
「C.C.!!」
C.C.は気怠そうにルルーシュのベッドで寝返りを打った。
「…何だ」
「フッ、もうお前に童貞とは呼ばせないぞっ!!」
「…はあ?何を言っている」
「この前の、…ごにょごにょ…の話だ!!俺はスザクから完全に主導権を奪った!」
C.C.は堪らず吹き出した。
「あぁ、それでか。お前にしては積極的だし、珍しいプレイをしていると思ったら…」
「な…ッ、お前どこで見て…」
「ルルーシュよ、はっきり言おう」
その魔女はきっと年相応でもあろう貫禄、何者さえも逆らう事の許されないような威厳で不敵に笑うと言った。
「お前がしたのは逆襲ではない。ご奉仕だ!」
ルルーシュは何も言えずただ口をパクパクさせる。
当初の目論見からズレていた場合等、想定パターン内には欠片も無い。
全くのイレギュラーにルルーシュは上手く対処が出来ないでいる。
「とんだ勘違いだな。どこに童貞を捨てようとして自分で掘られる準備をするやつがいる。だからつまるところ、お前は童貞のままだ、ルルーシュ」
世間を騒がす魔王様の私室では、魔女様の勝ち誇った哄笑が響いていた。