ころしやさん

□捕われたのは。
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『…なぁ、お前好きなヤツいんの?』


「は…?」



任務中。


しかも暗殺部隊のくせして目立ちたがりなこの上司のせいで50人は居ようかという敵の真ん中で、たった二人で応戦している最中にしては、何とも場違いな質問を真剣な雰囲気で尋ねてくるこの人は、一体何を考えているのだろうか。



いや、何も考えていないからこそなんだろう、そうに違いない。

でなければ、敵の喉を自慢のナイフで切り裂きその返り血を浴びながら、愛だの恋だのという話題を口に出来るはずがない…というのが自分の中での常識ではあるのだが、いかんせん、この自称王子には人生に必要な常識のうち9割は備わっていないのだ。


つまり…


「全くもって意味わかんないですー。」



一応あの個性派集団の中では一番常識を持っているだろう(そうであって欲しい)自分の頭では、この人物の思考は理解出来ないのだ。



『意味わかんないって…お前カエルだから人間の言葉理解できねーの?』

「んな訳あるか堕王子」


冗談じゃない。
何故こちらの頭が心配されなくてはいけないのか。
そもそもこの頭上のカエルだって、背中合わせで殺戮を楽しんでいる彼が無理矢理押し付けてきたものであるわけで…


理不尽な扱いに、なかば八つ当たりじみた感情のままに周りの敵を殺していった。



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