03/16の日記
13:18
漂流
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永遠かと思われたエレベーターの下降は突然終わり、鉄のドアは開かれた
一面に広がる赤い景色に命の気配は感じられず、絶望感だけが申し訳なさそうに漂っている
天井から流れ出した無機質な案内放送は、
「え〜只今、最下層部の地底、地底でございます」
無音の世界に虚しく響いた
溜め息をひとつついた後、私は静かに「閉」ボタンを押した
ベルトを巻き上げるモーター音と共に、私を乗せた小さな箱は頼りなく上へと動き出す
落ちないで
祈った後、これ以上どこに落ちる所が?と自我が私を嘲笑う
そうだったね、と曖昧に頷いて目を閉じた
自我(エゴ)に何が分かる、とは言わずに
死んでいく星々の煌めきを瞼の裏で感じながら
私は過去を埋葬していく
自分の弱さなんてね、自分が理解していればそれで良いのだから
他人(ヒト)への期待なんて棄てておしまい
己の理解者は己だけなんだよ
夢で訪ねた賢人は 優しい目をしてそう云った
かつて栄えた文明の 残骸たちを見送って
エレベーターは音もなく時空の狭間を上り続ける
黙ってしまった自我を抱き、私も睡魔に身を委ねた
渦巻き銀河が宇宙に囁く 子守歌を聞きながら
地獄の底に足が着いたら、あとは天(ソラ)まで昇るだけ
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