不真面目物書きノート
□―夢の通路(カヨイジ)―
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―夢の通路(カヨイジ)―
何も無い。
果てしない黒白の世界。
漆黒の闇。
飲まれそうな空。
目を開いて、まずそれを感じた。
疑問は浮かばなかった。多分、圧倒されてたから。
地は草一本無い白い砂漠が広がり、地平線ははっきりと見える。見渡せば白と黒の境界は自分の立ち位置を円で囲むように引かれている。
砂漠に影は、無い。
そして、首を傾げて呟く。
「此処、何処?」
返事はない。分かっていても、少し悲しかった。
仕方なく、自分で考えてみる。
まず、目を開く前に自分が何をしていたか。
「確か、交差点を渡ってる時に声を聞いたんだ」
空から降ってきたような声だった。
――お帰り。待ってたよ。
少年の声でそう言った。
「そして空を見上げたんだ。足を止めて」
そしたら、気付いた時には此処に立っていた。
「白昼夢ってやつかな」
だれも何も言ってくれないけれど、口にだして言った。
そうしないと、静寂に飲まれそうだった。
「風も無いのに足跡が消えるわけないし、かと言って瞬間移動はない。でも――」
空は夜の色とも違い、月もない漆黒を湛えていた。
非現実的な風景だ。
「感覚がリアルすぎるよ……」