ごちゃまぜ

□エバーラスティングライ
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ある少女の話


今日、私のお友達でもあるお婆ちゃんが、教会のベットで眠ったまま起きてこなくなりました。お母さんが言うには、お婆ちゃんは何処か遠い所へと旅立っていってしまったそうです。もう二度とお婆ちゃんに会えないなんて!わたしはわんわんと大泣きをしました。

お婆ちゃんは物知りでした。兄弟のいないわたしは、お婆ちゃんにあやとりやお手玉を教わり一緒に遊びました。お婆ちゃんは沢山お話を聞かせてくれました。赤ずきんちゃんやシンデレラ、白雪姫などをお話をしてくれました。お婆ちゃんのお話はとても面白くて、わたしはいつもお婆ちゃんにお話をして!と言っていました。お婆ちゃんはよくある男の人のお話をしてくれました。男の人が宝物を掘る話です。このお話をする時、お婆ちゃんはいつも幸せそうに笑っていました。だからわたしもこの話を聞くと幸せになりました。でもこの話にはお終いがありませんでした。赤ずきんちゃんにもシンデレラにも、白雪姫にもお終いがあったのに、なんでこの話にはお終いがないのだろうと思って、わたしはお婆ちゃんに、このお話にはなんでお終いがないの?と聞きました。するとお婆ちゃんは、まだ終わっていないからよと言いました。
「終わってないの?」
「そうまだ続いているの」
「いつまで続くの?」
「わからないわ。困ったものね」
そう言ってお婆ちゃんはまた幸せそうに笑っていました。

神父さんが、わんわんと泣くわたしのあたまを撫でながら言いました。
「お婆ちゃんはね、信じて信じぬいたから、きっと幸せの国にいけたと思うよ」
わたしはお婆ちゃんが何を信じて信じぬいたのかわかりませんが、神父さんの言うとおりお婆ちゃんは今もきっと、あのお話をしてくれた時と同じように、幸せそうに笑っているんだと思いました。
わたしが大きくなって、赤ちゃんを産んだら、その子にこの終わらないお話をしてあげようと思います。できればその子が産んだ子にも同じ話をしてあげたいと思います。お婆ちゃんの笑顔が、お話とともにいつまでも続くようにと。

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