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□insieme
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「わ、もう春だねー!」


野原一面に広がる
タンポポの花畑。
なんだか春が来たってことを
伝えてくれてるみたい!

草木の囁きは綺麗だし
真っ青な空には雲ひとつ無いし
あー、すっごくきもちいい!


そんな景色を背景に、
大好きな彼と2人でお散歩だなんて、
あたしはなんて幸せ者なんだろう。


暗殺特殊部隊の幹部であるあたしたちが、
こんなにも平凡な時間
を過ごしてていいのかな、
なんて口には出さないけど、
幸せすぎて、なんだか不安。



春風にゆらゆら揺れる
白銀に輝く彼の髪の毛と、
生い茂るタンポポの葉を見つめたら、
ふいに寂しさが込み上げてきたりして。
あたしたち、いつまで一緒かな?



「...スクアーロ」



「あ?」




「...幸せ、だね。」



彼はあたしの突然の言葉に
一瞬驚きの顔を見せてから、
深い息を吐いた。



「幸せだなんて、軽々しく言うもんじゃねぇぞぉ...」




「....」




「俺はお前を幸せにして
やれているとは思っちゃいねぇ。
...だが俺は今、すごく幸せだぁ。
だからお前を世界一幸せ
にすると約束してやる。」


誇りをかけてな!
なんて付け足して言い放った
ベタなセリフには似合わない、
得意そうな笑顔を浮かべて
あなたは今日もまた
あたしを魅了する。


あたしはもう、此処にいることしかできないんだ。
あたしだけの居場所。
あなたと一緒に生きていく。



insieme



―END―


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