GIVE&TAKE

□U PHANTOMIME
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朝食を食べ、昇は二度寝をしに二階に上がって行った。昴は出勤のため髪をポニーテールにしていた。飲食店の一種であるので当然である。
シハヤは昇から借りた、就活に恥ずかしくない身なりをして昴を急かす。

「早くしろよ。遅れちゃうだろ?」
「余裕でしょ。もう急かすなって」
「お前やけに気合い入れてね?」
「…髪縛ってるだけなんだけど」
とは言いつつも、髪を結うシュシュは僅かな自分の金で買ったであろう黒地に銀色や赤色のリボンの模様があしらってある物だった。







家を出て、昴にとってはいつもの行き慣れた道を歩く。互いに不思議と沈黙は気まずくはなかったが、先に話題を持ち掛けたのはシハヤだった。

「俺、働けるのか?あっちじゃほとんど外に出ないほどの引き籠りだったんだよ…」
「人付き合い苦手なの?でもジャ●プのお土産買って来てくれる友達いたんでしょ?その人とどっか出かけたりしないの?」
昨日言っていた、ヲタクに走った理由を思い出して聞いてみる。
「あいつ、結構前に姿くらましたんだよ。なんか“趣味に生きる”とか言って」
「何それ。ロクな友達いなかったのかよ。」
「おまっ!悪口言うなよ、良い奴だったんだぞ!!大量に漫画貸してくれたんだ…」
遠い目をして言うシハヤに対して白けた目をした昴だった。

「店の中にも結構漫画あるよ。貸してくれるといいね。」
流しながら言った。







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