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────土曜日。
河本家の朝は休日であっても早い。昴のバイトの出勤時間が7時半の為だ。
当然、朝食は6時台だしその片付けは7時頃には既に終えておく必要がある。よって、昇は基本的には昴が朝食を作ったと同時に起こされる。
実に規則正しい生活であるように見えるが二人は夜、寝るのが割と遅い。昴は平日もバイト、昇は悪友と出歩いている。自然と夕食と風呂を済ませるのが遅くなる。言って仕舞えば常に寝不足。あまり健康的ではない。

それはさておき、昴のバイトとは一体何なのか──────?
何てことは無いただの喫茶店の店員だ。

片田舎にも粋な喫茶店ぐらいはある。朝は出勤前のサラリーマンやOLが立ち寄り、昼は…暇な時が多く、夕方は夜の仕事を控えた人達が安らぎを求めに、やって来る。

そんな喫茶店で昴は働いている。バイト先までは徒歩15分程度。駅の近くで時給もよく、マスターは河本家の事情を知っているので何かと融通してくれる。
これ以上の所は無い、と募集貼り紙を見た瞬間に即電話した昴だった。



説明不足だったが実はこの喫茶店、夜はこ洒落たバーを営んでいる。
流石に珈琲は良い物を使い、従業員に良い給料を払っているとなると経営は苦しくなってくる。
そこで夜にバーをやることになったのが1年前。
その時既に昴は雇われていた。夜も営業するとなれば昴も平日に働ける。
願ってもない出来事であった。それからと言うもの、平日や休日バイト漬けだ。













それでも続けられるのにはある理由があった。





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