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□T "Pardon?"
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吸血鬼達の根城“紅杜(こうもり)”
其処には人間界と負けずとも劣らないヴァンパイアの社会が築き上げられていた。
紅杜は人間界とは全く次元の異なった世界に位置付いており、人間には其処に行くことはおろか見ることも叶わない。それと引き換えヴァンパイア達は自由に人間界に降り立つことができる。つまりは一方通行なのだ。

紅杜・闇十字区17丁目・黒薔薇ハイツ404号室。
此処に今、吸血鬼社会から見捨てられた憐れな一家がいた。
「母さん、シハヤ、今日バイトクビになった」
「「・・・え?」」
人間目線で言うと外見年齢20代半ばのこの家の大黒柱、シア・ロベリーゼが愛する妻と息子に悲しい事実を告げた。
「あら、5年も勤めあげたのに薄情なコンビニねぇ。でもどうしましょ。もう血液のストック1ヵ月分しか無いのよ。」
大して慌てる訳でもなくこちらも20代半ば程の外見の妻、イレイ・ロベリーゼが愛する夫と息子に厳しい現実を突き付けた。
ロベリーゼ家は万年金欠だ。理由は簡単、シアがなかなか就職できないから。何を隠そう、ヴァンパイア社会も不景気なのだ。









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