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□マリオネット
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─望遠鏡─

紫祁瑠 



例えば僕が星だったら
彼女は手の届かない一等星で
試行錯誤を繰り返す僕は
彼女にはほど遠い六等星かな?

冷え込んだ夜に思い出すのは
故郷で過ごした最後の夜
草原の上で星を見ていた僕の頬に
一滴の雨が落ちてきて
あの時は暗闇の中でも君と君の涙に
すぐに気付けた、だけど

今はもうどこを探したって
君はいないだろう?

どうして僕を置いて逝った?
約束は、やはり上辺だけ?

僕が六等星だから暗すぎて
明るすぎるくらいの君から見えなくて
僕という名の星を
君は地上に落としたまま
一足先に逝ってしまうなんて

カーテンを閉めて光を塞いだって
六等星の僕は暗闇でさえ光れない
マジックで塗りつぶした過去の記憶が
望遠鏡から零れて


僕の涙も零れて


寂しいんだ、言えないけど
会いたくてたまらないんだ
君が光ってた場所を見ては
1人虚しく涙を流す

いつか僕たちの願いが叶ったときは
きっと本当の星になって
また君と会いたい

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