書庫 V
□草の根
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周りに友達がいて、家族がいて、恋人がいて…
別に不満がある訳じゃない。
ただ、居心地が悪いのだ。
会社に行っては、具合が悪くなって早退。働けない時は、休む。
会社には申し訳ないが、本当なのだから仕方ない。
かといって、家で休養していても落ち着かない。
なんだろうか…
自分がわからなくて、不安になる…
そんな日が続いたある夜のことだった。
あまりにも満月が美しかったから、つい外に出た。
月の光で外は明るい。
(君は、独りなのかい?)
僕は心の中で呟きながら、月を瞳に映し、聞こえるはずのない声を待っていた。
作品UP日
H21.5.26(火)