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はっと気づいて目を開ける。

あまりの快感に一瞬気を失っていたらしい。

左手の微かな重みに視線を向けると、それはちゃんと俺の薬指で輝いていた。

「…ルルーシュ、大丈夫?」

スザクが本気で心配そうに覗き込んできた。

「あぁ…」

まだ少しぼうっとしていたが、大したことは無いのでそう答える。

「そっか…、良かった…。…じゃあ今日はもう終わりにしようか。抜くよ?」

「んぁ……っ」

スザクと一緒に、その白濁がトロリと零れ出た。

「…いいのか…?スザクはまだ足りて無いんじゃ…」

普段は最低で二回は必ずする。

「ルルーシュ…っ!あああ、また君からそんなことを言ってくれるなんて…っ!!……すごく嬉しいけど、できるだけ君に無理はさせたくない」

俺だってスザクに我慢させたくない。

「…俺は別に…」

ごにょごにょ呟く俺の言葉をスザクが遮った。

「駄目だよ、気、失っちゃったんだから。それに今日のは濃かったから大丈夫っ」

確かにすごく濃かった…。

「でも、ありがとうルルーシュ…」

前髪を掻き上げられて、額にキスされた。

とても大事にされているのが伝わってくる。

唇を離して、そのままスザクは間近で俺をじっと見つめる。

「スザク…?」

「ルルーシュ、あのさ…………」

あからさまに言うべきか否か迷っている。

「どうした…?」

こいつにしては珍しいことで、先を促してみる。

「…ルルーシュ、ヤってるときに僕の…舐めてくれるって言ってたけど、……今度、してくれる…?」

「な……ッ!!」

何かと思えば…!!

「…−〜ッ!!かっ、考えておくっ!!」

一気に顔が熱くなった。

「わーいっ!たのしみだなあっ!!」

ものすごく嬉しそうだ…。

…こんなに喜んでくれるのなら、なめるくらい、いくらでもしてやりたい気分になる。
まぁそんなこと、本人には、口が裂けても言わないが、な。

「さて…」

「っ……!」

ベッドから降りようとしたスザクのYシャツを無意識に掴む。

「ルルーシュ?」

「…あ、すまない…」

慌てて手を離して俯いた。

何をしているんだ俺は…。

スザクは柔らかく顔を崩して笑った。

「大丈夫だよ、君を運ぶ為に降りただけ。一緒にシャワーしよ?」

「ん…」

俺は小さく返事した。

スザクがベッドから降りて、俺のほうに上半身を傾けてきたので、その首に腕を回した。

落ちないように身体をしっかり支えられて、いつもは何かと気に入らないことなのだが、今日は自分からきゅっとスザクに密着した。

「あああルルーシュ可愛い…っ。大丈夫だよ、絶対離さないからっ」

素直に嬉しくて、俺以上に、鼻歌でも歌いだしそうな程楽しそうなスザクの胸に顔を埋めたまま、コクンと頷く。

「ルルーシュ…っ!」

瞼にキスされた。

結局シャワールームでもスザクに甘えっ放しで、ベッドでも自分からスザクの胸に頭を擦り寄せながら寝ると、その度にスザクが可愛い可愛いと連呼してきた。

何故か、自分でも不思議に思うほど、スザクに甘えていた。







朝。

昨日から興奮気味だったせいか、割と自然に目が覚めた。

スザクはまだ寝ているようだ。

昨日は仕事が大変だったといっていたもんな…。

スザクの男らしく整ってはいるが、まだあどけない寝顔に唇を重ねる。

そういえばスザクより早く起きたのは初めてかもしれない。



左手にはまだ指輪が入っていた。

夢じゃない。

そう考えたのは、あまりに幸せ過ぎたから。

右手でその繊細な模様を辿る様に愛撫する。

スザクがくれたエンゲージリング。

男同士という、言い分け次第で簡単に壊れてしまうかもしれない関係に形をくれた。
束縛。それでも嬉しい。

俺も相当毒されているな…。

一人、自嘲と呼ぶのにはあまりに甘すぎる笑みを零して、愛しい指輪に口付けた。
が。

「可愛い」

「ほぅあ…ッ!!?」

スザクがにこにこしながらこちらを見ている。

いっ、今の見られたッ!絶対ッ!!

「お前…っ、いつから起きて……っ」

「んー…、ルルーシュが僕にキスした辺り?」

最初からじゃないか!!!

「バカ…っ」

俺はシーツの中に隠れた。

うぅ…。全力で恥ずかしい。

「あぁもう、ルルーシュ、恥ずかしがらないで出ておいで。ちゃんとおはようのちゅーしよ?」



先程から述べている昨夜に引き続き、この日の俺はおかしかったんだ。

「………」

俺はもそもそとシーツから真っ赤になった顔をほんの少しだけ出した。

「ルルーシュ可愛いッ!!」

そして力の入らない寝起きの身体に、俺は朝からスザクの熱いキスを受けたのだった。

「あぁーっ、もう離したくないッ!!…でも今日は生徒会でルルーシュの誕生パーティーだもんね」

「そうだな」

見つめ合って笑った。







名残惜しいが、指輪はケースに大事にしまって、二人で登校した。





―それでもこの日は一日中ずっと左手の薬指は甘くくすぐったいままだったのは、言うまでもない。

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