bleach(一+日)
□おやすみ
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近頃増した冬の寒さに夜中目を覚ました俺は、隣に眠るはずの冬獅郎の姿がないことに気付いた。
｢……起こしたか｣
｢冬獅郎｣
しんしんと降り続ける雪を窓際で眺めていた冬獅郎は、こちらを振り返らないまま言う。
｢雪、現世(こっち)も積もるのか｣
｢まぁ、たまに。冬獅郎は雪好きそうだな｣
｢別にそうでもねぇけど｣
｢俺はさみーから好きくねーな｣
そう言いながら背中を包むように抱き締めれば、困ったように笑うお前が振り向いた。
｢黒崎は寒さに弱すぎなんだよ｣
｢別に、弱くてもいーし｣
｢なんで｣
｢寒さに弱いなら暖めりゃいいだけの話だろ｣
肩に顔を埋めてポツリと言えば、冬獅郎の小さな背中が微かに揺れる。
雪は、お前みたいで嫌いだ。
踏みつけられて汚れても、溶けて消える自分を嘆いたりしない。
まるでお前みたいで、歯痒くなるから。
｢冬獅郎、身体冷えるぜ｣
｢お前が居るから平気だ｣
｢ばか。口説き文句かよ｣
小さく笑い合うことが、もしも雪のように一瞬の奇跡であっても。
きっとお前は受け入れるだろ、俺との別れや苦しみも。
仕方ないこととして。
だから嫌だ。
お前が自分を大事にしなければしないほど、傷付いていく奴だって居るというのに。
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