silver soul
□『サヨナラ。』
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幾度となく見てきた夢を中断させたのは冬の寒さで。
働かない頭を起こし銀時は隣に眠る土方の背を見つめる。
「…………」
冬の冷気を吸い込むように障子の窓を開けると、先ほどの夢に出てきたアイツと土方を頭の中で重ねて反芻する。
「……さむ」
漆黒の髪に鋭い瞳。
それに、
苦いタバコの香りと、
俺を有り得ない位に優しく抱く腕。
自分は卑怯だ。
土方の好意をまんまと利用している。
寂しさを埋めるように、土方の名前を呼んで紛らわしてきた。
ずっとずっと、
自分の中にはアイツしか居ないのに。
「……っ」
不意に銀時の身体を土方が後ろから抱き締める。
「寒ィ」
「……起きてたの?」
「寒くて起きた」
「……」
銀時は土方の腕に優しく触れると、振り向かずに空をぼんやり眺めた。
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