紅月の悪魔と優しき堕天使の幻想曲
□プロローグ
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赤みがかった月が綺麗な夜…とある町の路地裏
「…………」
身体中が血塗れの青年が空を見上げていた
「兄さん……っ」
暗闇の中からもう一人の青年が現れた
「あぁ…アベルかどうした?まだ奴等がいるのか?」
アベル「いえ…もう反応はありません………」
アベルと呼ばれた青年の足元に目をやるとそこには体の一部が砂となって消えていく人間の死体があった
アベル「兄さん…いくら悪魔に魂を売れば助かる見込みが無いにしろやりすぎでは?」
「例え下級の悪魔を使った奴でも悪魔は悪魔さ…確実に倒す必要がある」
青年はどこか切ない顔をしていた
アベル「……言葉と顔があってませんよ」
アベルは優しく微笑んだ
「そちらはもう片付いたのか?」
「ええ、たいした数はいませんでしたから」
「……しかし相変わらずアベルの悪魔を感知する能力はすごいな」
アベル「そんなことありませんよそれより、はい」
アベルは軽く微笑み青年にタオルを渡した
「おっと、すまんな」
タオルを受け取ると血を拭きだした
アベル「行きましょう兄さん…」
「そうだな…長居は無用だ」
青年は赤みがかった月を見上げて呟いた
「薄気味悪いな…何も起こらなきゃいいが……」
そう言って青年はアベルと共に自分達の事務所に向かって歩きだした