Novel

□lipuidate
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ちょっと待てそれはヤバイ。
くそ、なんて馬鹿力だ。
このままじゃ力で押し切られる。

・・・ヤバイ。
顔が半端なく近い。
まぁ当たり前といえば当たり前なのだが。
どうやら古泉は俺にキスしようとしているようだしな。
今、こいつの目はえらくマジだ。

だが冗談じゃねぇ。
こんなところハルヒ達に見つかりでもしたら・・・。
経験上、長門に見られても平気なことは分かっているのだが、
ハルヒと朝比奈さんは石の様に固まる事だろう。
朝比奈さんには避けられたり無視されたりするだけで済むだろう。
(もしそんなことになろうものなら俺は生きていけなくなると思うが)
ところがハルヒはどうだろう。
古泉曰く、『古泉一樹という人間がこの世から消去』されてしまうらしい。
もしくはいつかのように世界を作り変えようとするか。


俺はどちらもゴメンだね。
両方嫌だ。


これがついさっきのやりとり。
俺がそう言ったときいきなり古泉が襲いかかって(?)きて、今の状態に至る。
おい古泉、さっきの話はどうした。
もしこの場面を見られたらお前はこの世から消されてしまうかもしれないんだぞ?

「もうそんなことどうでもいいです。僕はキョンくんが好きなんです。大好きなんです。力いっぱい抱きしめてキスしたいんです。」

どうしちまったんだコイツは。
いつもは冷静なのに、らしくねぇ。

「だってあんなこと言われたら・・・反則ですよ?・・・あぁ、キョンくん。好きです。愛してます。」

・・・あんなことってなんだ?
俺なんか古泉の頭をおかしくさせるようなこと言ったか?

「僕が消えたら嫌だ、とおっしゃったじゃないですか。」

あん?俺がいつそんなこと・・・・・・
はっ!あれか!!

「違っ、あああああれはだな!!」

しまった。
動揺している隙に。

古泉と俺の間にあった距離がゼロになる。
必死に抵抗したが、抱きしめられているので逃げられない。

「好きです。キョンくん。」

古泉が耳元で囁いた。
俺は深いーため息をつく。

「ったくお前、今日だけでそれ言ったの何回目だ?もうそれは分かったから。お前が俺のことを好きなのはよーく分かった」

だから・・・な。
出血大サービスであと少しだけこのままでいてやる。
だが、少ししたら離れろよ?いいな?
ハルヒたちに見られたら大変なことになる。

古泉は、いつものような胡散臭い笑みではなく、嬉しさを顔に滲み出させた満面の笑顔でしばらく俺を抱きしめ続けたのだった。

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