作文

□失恋
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貴方の黒髪がさらりと靡く

残像だけが鮮やかで

まるで静謐な終焉


煌めいてたね

記憶が恋しくて

思わず歪めた顔


瞳にはもう映らない

夢を彷徨い行き着いたのは

愛しさばかり

私は何故信じたがるの?

嗚呼この侭永久に無垢でいて

貴方を映し出して


真っ白な頬に睫の影

記憶のレンズは綺麗にしか

貴方を写さない偽物


哀しそうだね

忘れも出来なくて

食い込んだ爪の痕


愛しさも掴めない

瞳の雫を拭って濡れた指先は

冷え冷えした

私は未だ信じようとするの?

嗚呼この侭空漠として

泪に面影を秘めて


『祈りとは苦しいのね』

哀しい現在より

魅力的で微笑ましい


瞳にはもう映らない

ほとぼりが冷めるまででも

せめて指を絡め返して

私は信じていたかったの?

瞳を枯らさぬよう

貴方を映し出していたのに



まだ愛しい

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