マイメロ

□小金色の風
1ページ/15ページ

 きらきらとした木漏れ日の光の粒が舞う。時折随分と冷えた北風がどこかにあるらしい金木犀の香を運ぶ。赤く染まった落ち葉をざくざく踏みながら歩く一本道はどこか風情がある。

「ねぇ、駆」

 わたしは彼の顔を見上げる。
「何?」

 ぶっきらぼうな瞳がわたしを見つめ返す。

 好きだよ。言いたい。でも、恥ずかしい。「ううん、何でも無い」とごまかして、ふぅ、と溜め息。好きだよって言って、俺もって、言ってくれたら、安心できるのかな。握りしめた掌だけじゃ何だか心細くて、自分から抱きしめたくて、もっとあなたの側にいたい、近くにいたい。そうしたら不安なんて感じないのかな。何度も……、そんな事を考えていた。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ