定点観測


◆屠る 

魚をさばくという事をまだ二回くらいしかした事がない。調理実習とか人の手伝いにちょっと触った程度だ。内蔵を食べるのも嫌いだが、出すのはもっと苦手だ。見るのも好きではない。帝王切開の時、ライトに何かしら映っていたがあまりいい気分ではない。

自分が苦手な事だからだろうか、昔から魚を釣って自分で内蔵を出して料理するような男の子に凄く魅力を感じる。単に「立派だな」と感心するのではなく寧ろセクシー!!という気がするのだ。変だろうか…

では自給自足的ワイルドなのが良いかというとそうとも言いきれない。例えばうちの母に「魚を釣るのは良いが、内蔵を出すのはちょっと」と言ったら「なに、出さんでそのまま焼けばよいのだ」と言われた。母は若い頃瀬戸内海の島の学校に勤めていたのだった。「とりたてをその場で焼いたら旨いで」
確かにその場で焼いたなら苦手な内蔵は残せばよいのだ。まあ、私にはそっちが向いているだろう。


だが、私が魅力を感じるのはそういうワイルドさとは違い、もうちょっと隠微なものだ。生き物を切り刻み、内蔵を選り分けて棄てる。釣りが好きな男の子は大抵その作業が好きなようである。「今度は鶏をさばきたい」等と言っている。鶏から猪、それから…

学生の頃、後輩に海辺の旅館の娘さんがいて、刺身だってきれいに造る事ができた。当時の助手だった飲んべえの先輩は「今時そういう女の子少ないんだよなあ」とたいそう感心して「お嫁さんにほしい、酒の肴をささっと作って」だのと戯れ言を言っていたが、私は「けっ、!!」と思っただけで、彼女をあまり素敵だとは思わなかった。立派だなとは思うが、魚をさばく女の子には小賢しさくらいしか感じないのである。
(正にダブルスタンダードですみません。が、言うまでも無いが、解剖が趣味の男の子や女の子がいたとしても不気味なだけで素敵とは思わない。)

2012/11/08(Thu) 22:00

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