きら星

どこかで会った人びと
◆ラヴィアンローズ 

月曜日から土曜日までデイサービスに行くようになった母に会いに日曜日に帰省する。
前回あった通帳類が一式なくなったらしい。しかし代わりにずいぶん前になくなって作り替えたはずの通帳が机に置いてある。これはどこにあったのかと問えば「ずっと肌身離さず持っているよ」という。

異臭に気づき、押し入れの暗がりを覗けば、猫のうんこがもう殆ど土みたいになって沢山の山を作っている。やっときれいにしたらまた別室でうんこの山を発見。

掃除を終え、二人で神社に詣り、それから浜田市のコーヒー屋さんに行く。母はつくば万博と内閣制度百年記念のコインを持ってきてくれたので私も五百円出してコーヒーとケーキをいただく。

帰ってきてゴミ出しをして帰路に着く。母はいつもお寺の横の坂道をくだりかけた所まで乗せてくれという。そこで降りて見送ると山を越えて行く私の車を一番長く見送れるのだそうだ。
母に手を降り、暗くなりかけた山道を上り、上りきったら峠をどんどん下っていく。谷底の少し広い道に出て寂しい集落を走っていると、道端の水田で一人働く人影とすれ違う。あれは小学校の同級生だったユリちゃんが、昔と寸分変わらない髪型と背格好で一人前の農家のおかみさんになって作業をしているのだ。
おお、ユリちゃん!と車の中で一人呟き喜び、暗さを増す道をひた走る。

こんな時なんでか、人生というものも悪くないなと思う。

2011/06/06(Mon) 00:53

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