きら星

どこかで会った人びと
◆A型のひと 

スーパーに勤めていた頃、同僚に連れられて踏切の側の喫茶店に行った。そこは売り場のマネージャーの彼女の店だった。マネージャーは単身赴任だったから所謂現地妻みたいなものだ。マネージャーより歳上で四十代前半だが、もう孫がいる。しかし、とてもその様には見えない。お世辞の上手な私が本気で「高校生に見えますよ!」と言ったくらいだ。
大変明るい人で、明るい人にありがちな空間恐怖症的な喧しさにはちょっと閉口していた。しかしまた、喧しい人にありがちな「好い人なんだろうがな、ごめんね」と申し訳ない気にさせる人でもあった。
血液型占いに凝っているらしく私も訊かれた。O型っす、と言ったら「あなたは絶対私を好きになるわよ!」と自信満々に言う。O型はA型に容易に支配されるのだそうだ。そうすか〜、とニコニコ笑いながら困ったなと思っていた。好い人なんだろうがな、ごめんね、絶対好きになると言われて好きになれるほど几帳面じゃない。
という訳で、血液型であれこれ言われていると、この人の事を思い出す。そのスーパーはやがて閉店してしまい、マネージャーは去って行ったようだが、喫茶店はちゃんと続いている。踏切を渡る時ちらっと見ると、あの人が餌をやっている野良猫達が店先にごろごろしていたりする。
あれ?結局いつまでも気にしているところを見ると、あの人が言ったこともまるきり当たってなくもないのだろうか。どうもA型の女性には気を遣うことが多い気がする。「あんまり好きじゃなくてすみません…」という負い目から、変に親切にしてしまう。これもまた支配されていると言えるのだろうか。

2010/04/01(Thu) 17:41

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