きら星

どこかで会った人びと
◆信仰の光 

数年前のこの頃、物凄く絶望的な気持ちで駐車場に車をおき西日の中を家に向かって歩いていた。つんのめる位の落胆だったがかろうじて普通に歩いていた。道路脇に赤い軽自動車が止まっていて、よっこいしょと出てきた老夫婦がよろよろ私の前を歩き出した。と思ったら振り向いて、「よかったらこれを読んで下さい」と小さいパンフレットを渡してきた。近所の宗教団体のものだ。どうも、と頂いて二人を見ると、しわしわの笑顔が西日に照らされて何とも有難い感じだ。ああ、こういった時に人は信仰に入ろうと思うのだろう、と考えながら笑い返した。二人はそれから楽しそうに、伝道に回る道筋を相談しつつよろよろと消えて行った。
パンフレットは結局読んでいないし、勿論それで信者になったりはしなかったが、あの光輝く老夫婦の顔は確かに少し私の絶望を小さくしてくれた。

2010/01/28(Thu) 00:17

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